円柱野郎

GODZILLA 怪獣惑星の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

GODZILLA 怪獣惑星(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「ゴジラ」シリーズの30作目。
ゴジラの脅威から宇宙に逃げ延びた人類が、再び戻ってきた2万年後の地球。
いまだに存在するゴジラを倒すべく、600人の地球降下部隊が編成される。

怪獣映画かと聞かれたら「違うんじゃない?」と答えてしまいそうになるくらいにはSF映画。
まあ怪獣映画もSFの1ジャンルには違いないけれど、この映画は「シドニアの騎士」か「進撃の巨人」かといったSFアニメ的な印象の方が強い。
そういう意味では、ゴジラ映画として初めてCGアニメーションという形態をとった今作で、そういう世界観にゴジラをハメ込んでみたという実験としてはありかとは思う。
クオリティもポリゴン・ピクチュアズらしい感じでまとまっているし、巨大生物との戦い自体は迫力があっていいしね。
SFテイスト全開の“それっぽい”用語の数々も雰囲気を盛り上げてくれる。

ただ怪獣による都市破壊は冒頭で触れられるだけで、メインのゴジラとの戦闘は特殊な密林の中でしか行われないのはすこし残念。
舞台や状況としての見た目の変化が少し乏しく感じてしまうかなあ。
2万年後の地球なんだから仕方ないだろうと言われたらそうなんだけど。
でも怪獣映画におけるカタルシスは都市の破壊シーンにこそあると思ってる(めんどくさい思考を持つ)身としては、そのへんが「怪獣映画じゃなくてSF映画だな」と感じてしまう所以です。
まあラストの300メートル級のゴジラの登場で、ある程度終盤の盛り上がりにはあったけれど、それ自体は規模をインフレ化して絶望感を煽っているだけだし、ちょっと安い感じではある。

それでも話のテンポは悪くないとは思うが、一方で三部作の一章だと承知したうえでもぶつ切り感はあるし、それでいて全体的に主人公の怨念のごとき執着ばかりが強調されて少し息苦しい感じも。
駆逐しか考えてない主人公を見ると「『進撃』のエレンかよ」と思わず脳裏をよぎるが…、この描き方ではそれも致し方ないところか。
動機がハッキリしているので話を進めやすいというのは分かる。
二章以降で人間的な変化も描いてくれれば、導入がこれでもありなのかもしれないけど、どうなるかな。

あとは、腹にイチモツありそうな神官の狙いは何か?
散々前振りをしたメカゴジラは300メートル級とどう戦うのか?
そのあたり、次作が気になる作りではあります。
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