五十

GODZILLA 怪獣惑星の五十のレビュー・感想・評価

GODZILLA 怪獣惑星(2017年製作の映画)
3.5
本当は初日に観たかったんですが、ようやく一週間経とうとする先日鑑賞しました。

まず、アニメのゴジラが製作されると発表があった時点で相当話題性がありましたよね。
その当時からTwitterなどでも「楽しみ」という意見が多く、『シン・ゴジラ』が我々の持つゴジラに対する固定観念を打ち払ったことの意義を改めて感じました。


さて、そんな今回のゴジラはアニメならではといいますか、宇宙SFを舞台に描かれます。

ーーーゴジラのせいで人口や居住地域が極端に減ってしまった人類は、地球外に新天地を求めて逃げるように地球を後にする。
しかし、居住可能な惑星を発見できないままの20年間に及ぶ宇宙航海は、食糧難やそれに伴う口減らしを発生させ、さらに人口を減少させてしまう。
「このまま緩やかな破滅を待つ」か「ゴジラにリベンジを果たし、地球を取り戻す」か、人類はどちらかの選択肢を選ばざるを得なくなる……。

というのが序盤で語られる世界観です。
この序盤での世界観説明の一連の流れはワクワクしましたねーーー。

うん、たしかにゴジラとしては新しいですよね。良いじゃないですか。
地球を狙っていた異星人達がゴジラ打倒に協力を申し出たという設定も新鮮ですね。
この異星人設定にファンサービスがあるのも目配せが効いてます。

本作のゴジラ(や他の怪獣)の解釈も、実は堂々とゴジラ作品としてやったのは今作が初めてだと思います。
ある意味、核の呪縛を受けない系譜のゴジラですね。
その分、のびのびと色んなことができるってことだと思いますし、アニメにするには丁度いい塩梅のラインだと思いました。

中盤から終盤にかけては、ゴジラ撃滅作戦が主な見所となっています。
人間がゴジラを研究してあれこれ考えながら、ゴジラ打倒の糸口を見つけていこうとするんです。

『シン・ゴジラ』と共通する点ですが、この「他の怪獣は出さずにあくまでも人間とゴジラの対決にこだわる」という姿勢は、新しいゴジラを作る者たちの矜持ということなんでしょう。
興味深いですね。


総評して、新しいものを作ろう!という気概の感じられる良い映画でした。
満足です!









となれば、どれ程良かったでしょうか。
正直なところを申しますと、結構ガッカリしてます。
上記で褒めた点は本心ですが、それを打ち消すくらい悪いところもあるんです。

まずこれは声を大にして言いたいですが、演出が全然なっちゃいねえ!ってところです。
怪獣映画としても群像劇としても、こんな無頓着な見せ方ってありますか。
唯一出来ていたのは回想シーンでのスペースシャトル破壊場面とゴジラの咆哮くらい。
他は、少なくとも僕は物足りなく感じました。

怪獣描写に関しては超薄味すぎて全然楽しくなかったです。
怪獣映画の肝であるタメだとか、人間が怪獣にビビることへの快感がほぼ皆無なんですね。
怪獣映画を観に来た身としてはこの時点で萎えてます。
それにこの演出じゃあ、あんまりゴジラが脅威に見えないんですよねぇ。

怪獣が上手く見せられていないならせめて人物描写は…と思いましたが、これもクリアされるレベルではないと思います。
今作はどちらかというと人間サイドがメインの映画ですよね。
しかし、登場人物たちからは「生」が感じられません。
ただ役割を果たす、セリフを喋るキャラクターとしか認識できませんでした。
それと、主人公とヒロインのあのステレオタイプな感じ、もうやめませんか。
逆に勇気あるなーと思っちゃいました。


要は怪獣描写にしても人物描写にしても、本当に抑揚がなさすぎるんですよ。
だからどこの場面でも盛り上がらない。
そういう“ワカッテナイ”のばかりが目に付いちゃって、ちょっと冷めてしまいました。

脚本や設定は、ゴジラが好きな人が新しいゴジラ映画を作るために頑張っていることが伝わりますが、演出がそのポテンシャルを引き出せていない印象です。

続編はもちろん観ますが、楽しみかと聞かれると返答に困ってしまうというのが正直なところです。



今年一、なんだか煮え切らない映画でした。
残念!!!
五十

五十