TAK44マグナム

GODZILLA 怪獣惑星のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

GODZILLA 怪獣惑星(2017年製作の映画)
3.2
人類は地球から出ていけと、ゴジラは咆えた!


自分勝手な人類によって地球は病み、その頃を境に突如として「怪獣」が地表を席巻するようになった未来。
最強の怪獣王ゴジラは、他の怪獣や人類を蹂躙し、文明は崩壊の一途をたどっていった。
地球の豊かな資源を目的とした異星人の協力さえもゴジラはものともせず、ついに人類は母なる地球を捨て、まだ見ぬ新天地を求めて長い宇宙の旅に出たのであった。

それから20年後。
地球では2万年弱の時間がながれて
しまっていたが、宇宙船での辛い生活に疲れた人類は、一縷の望みを賭けて地球への帰還を決定する・・・


ゴジラを一流のスタッフが最新のアニメで描き、人気声優陣が命を吹き込む、劇場用アニメ版ゴジラ第一作。

まず第一に、「ゴジラをアニメで?」と企画じたいに懐疑的だったのもあって劇場はスルー、公開が終わるか終わらないかぐらいからずっとNETFLIXで配信されていたのも知っていましたが、なんとなくこれもスルーし続けていました。
更に、古い人間なので、どうも昨今の3DCGとかデジタルなアニメーションが無味乾燥に思えて肌に合わないTAK44マグナムですが、何事も食わず嫌いはよろしくないので、ようやっと思い腰をあげて鑑賞してみた次第であります。
まぁ、早く起きすぎちゃったから時間があり、たまたま目に入ったという事もあるのですが・・・

結果、思っていたほど悪くはないけれど、さして良くもないという、些か中途半端な鑑賞後感となりました。
観ていて、何となく冷たい味がしたなぁ。
音楽も印象に残らない。


モノローグでの、小難しくて大仰しい言葉使いが思わずイラッとしちゃう(汗)
ああいうのがツラツラと続くと、「厨二か!」と毒づきたくなります。
西尾維新ぐらいになると一つの芸として昇華したなぁと思えますが、セリフも、もっとシンプルで熱ければそれで良いのに。

で、肝心のゴジラさんの描き方ですが、迫力は多少あるものの、あまりに動きがない。
尾っぽを振っただけで大被害など外連味がないわけでもありませんが、映画の「主役」にはなりきれていないような。
その理由は、ちゃんと終盤に判明します。でも、ゴジラはゴジラだしねぇ・・・
あと、生物感も少しは欲しい。

クライマックスの決戦もね、ポツンと立ちんぼになったゴジラの周りをハエみたいにたかりながらチマチマ攻撃する絵面が割と続いて、そこまでバトルにハマれずじまい。
パワードスーツや多脚戦車は格好は良いけれど、そもそもあんなんでゴジラと戦うの?という思いが拭えないのでした。

大体さ、あの撃滅作戦だけれども、地球を捨てる前に誰か識者が思いつかなかったの?
ゴジラが何故無敵なのかも分析できたでしょうよ。異星人がヘルプしてくれているんだし。
あとは単純なトラップだったじゃない?
まだまだ戦えた時期に誰もあの作戦を、異星人でさえ考えつかなかったというのがどうにも気になります。


今までのゴジラ映画のイメージからは少し離れたハードSFっぽい「ゴジラと人類の覇権をかけた超未来での争い」という設定自体は、ゴジラ映画としては挑戦的かつ意欲的なものではあったとしても、そこまで新鮮さを感じるわけでもなく、個人的には1作目のこの段階では求心力のあるテーマもくみとれませんでした。
数年前に少年チャンピオンで連載していた「バーサスアース」みたい、としか・・・。

それと、公開も始まっている二作目では、もうすこし誰が誰なのか分かりやすく描いて欲しいかな。
観ていて、よく知らないキャラがよく分からないまま死んでいっても、「これ誰だったっけ?」となっちゃいますから。
もっと分かりやすくしてくれないと、オジサンには辛いのです(苦笑)


何が良くて、何が悪いのか、まだ頭の中でそれほど整理が出来ていませんが、とりあえず次に期待することは出来ましたので、きっとそこまで落胆したわけではないのでしょう。
メカゴジラの影があるわけですしね。
怪獣VS怪獣の、盛大なプロレスも観たい。
聞いた話だとモビルスーツみたいなのと戦うらしいけれど、それだとパシフィック・リムとかエヴァとか、そういう方向にいきたいって事でしょうか?
いまのクリエイターさん方は、そういうの本当に好きですなぁ・・・

とりあえず、シリーズは全部観てみます。
それでないと全貌は分からないし・・・
尻上がりに調子が上がるのを期待!

あ、最後にひとつ。
亜空間航行のシーンが意外と地味で、ある意味驚きました。
色々言ってたのに何も起きずにすぐ地球に着いたしね(汗)


※追記です。
ちょっと考えて、何故に自分がそこまで本作にノレないのかが少し分かってきました。
それは、二万年後の森やら山しかない場所でゴジラと人間が戦うのを見たいわけじゃないんだなぁという事です。
思いっきりモノローグで語られて終わった、ゴジラによって破壊され尽くしてゆく文明・・・
築き上げたものが奪われてゆく恐ろしさ、それが一番みたいのに、そこはホンの少しだけ・・・
日常とリンクしているからこそ核のメタファーとして存在感を発揮してきたゴジラだと思っていたので、自分がまるで窺い知れない未来で何がどうなっても割とどうでも良い感がしてしまうんですよね。
そこを主人公が代わりに奮い立ててくれれば良いのですが、はたして二作目ではどうなっているのやら?


NETFLIXにて