kassy

遠い夜明けのkassyのレビュー・感想・評価

遠い夜明け(1987年製作の映画)
4.0
アパルトヘイト政策をとる南アフリカ共和国を舞台に自由な理想社会を叫ぶ黒人男性と彼を支持する白人男性との熱い友情を描く事実に基づく壮大な叙事詩的なドラマ。犠牲がなければ前に進まない、誰かがリスクを承知で立ち上がらなければならない。まさしく、その通りの物語。尊敬するしかありません。人種差別問題、辛く苦しい事ばかり、腐敗した国家もいかなるものなのか。まだまだ根強く残る人種差別、世界で取り組める世の中へと早くなってほしいです。

他のユーザーの感想・評価

sunday

sundayの感想・評価

4.5
南アフリカのアパルトヘイト政策に立ち向かい斃れたビコ。南ア生まれの白人で南アの新聞編集長のウッズ。時代は1977年。マンデラは獄中。大統領になるのは1994年5月。まだまだ長い途上の時期。実はこの映画で初めてビコという人物を知ったのだが、実話ということで、拘束されてからの急展開に、ええっーっと息をのむ。

最初と最後に挿入される黒人居住地区への南ア政府の侵攻。なぜかゲルマン民族の大移動、という昔世界史で習った言葉を思い出してしまった。ウッズが頼みとした南アの警察庁長官は白人至上主義を疑いもせず、ここは我々が入り込んだんじゃない、我々イギリス人が作り上げた街なんだ、と言う。ゲルマン民族の覇気の強さ恐るべし。


最初はビコが人種間憎悪を煽っているという記事を書いていたウッズだが、会ってみると、黒人の尊厳を取り戻したいんだ、という思いと、論理的な言葉を述べ、また中庸な人柄に惹かれてゆく。実際デンゼル・ワシントンはとても魅力的なビコを映し出している。

ウッズは初めてビコと黒人居住地区に行き、ビコ運営の公民館に行き、これからどう動くのかなあと思っていると、急転直下、ビコの拘束。場面に1977年9月と出て、この場面に至ってビコを検索すると、77年9月12日死亡と出てくる。えっー。それからウッズも監視対象となり、レソトからボツワナへの脱出劇は、ほんとうのことなんだと思うとほんとうに息をのんだ。

バントゥー・スティーヴン・ビコ:1946.12.15-1977.9.12(30歳没)
ドナルド・ウッズ:1933.12.12-2001.8.19(67歳没)

1987イギリス
2023.6.7BSプレミアム
TOMTOM

TOMTOMの感想・評価

4.3
今もなお、人種差別が色濃く残る南アフリカ
悪名高いアパルトヘイトによる悲劇
白人側にとって、刷り込まれた差別意識を取り払うことも、特権のある生活を手放すことも難しいだろう
そして、警察の暴力や武力は、本当に酷かった
黒人側の意識を変えようという、ビコの言葉や行動に感銘を受けたが、それを知ることができたのは、ウッズの命懸けの亡命の功績であった
映画猫

映画猫の感想・評価

3.5
2023-306

事実を基にした作品
恥ずかしながらスティーブ・ビコという活動家をこの作品で初めて知った
亡命成功をラストシーンにして綺麗に終わる訳ではなくソウェト暴動のシーンや獄中死因の羅列で、南アフリカという国がどんな国だったのかを今一度認識させられる
1975~1977年、南アフリカはアパルトヘイトの真っ只中、黒人解放活動家(デンゼル・ワシントン)と、白人の新聞記者(ケビン・クライン)との友情物語。
リベラルの記者は活動家によって、その薄っぺらな化けの皮を剥がされる。
二人は交流を通じて友情を育むが、政府は放置しなかった。
この映画が公開された時もアパルトヘイトは続いており、南アでも公開されたものの、多くの映画館が焼き討ちにあったらしい。
Boss2054

Boss2054の感想・評価

4.8
前半、社会派ドラマ。
後半、超サスペンスフルなサウンド・オブ・ミュージック。
後半の演出は、ヒッチコックかト思った!

前半の主人公は、デンゼル・ワシントン演じるスティーブン・ビコ。
南アフリカの黒人活動家。
デンゼルは、若い時から芝居が巧い!
ところがびっくり、途中で殺されてしまう!?
実話ベースだから、仕方ないけどね。
どうするンだろうト思っていたら、
ケヴィン・クライン演じる新聞記者が後を継ぐ。

巧いなト思ったのは、
前半のデンゼルが体験した黒人としての恐怖や心の痛みなどを、
後半まんまケヴィンが受け継ぐコト。
そこで初めて、ケヴィンは、南アフリカにおける黒人の立ち位置を知る。
この構成がうまい!
この現状を伝えるために南アフリカからイギリスに亡命して、
本を出版しようとするのだが、
この展開がまるで、
サウンド・オブ・ミュージックを彷彿とさせる。
果たして、監視の目を逃れて、家族全員で、無事に脱出できるのか?
もう、ハラハラドキドキしっぱなし!
頼むから、助かって!
ト、祈りながら観ていた!
なんて良い人なンだ、ワタシは!
ウホホ😅

黒人側に回ったからって黒人同様に迫害される白人!
この問題の根本はホント根深い気がする。

158分の大作ですが、
リチャード・アッテンボローの演出が片時も飽きさせない。
ちなみにリチャード・アッテンボローは、
ジュラシックパークのあのおじいさん役者さんですが、
超一流の映画監督でもあるンですよ。
念の為。

とにかく骨太の作品。
見応えあり!
Kazooki

Kazookiの感想・評価

4.0
リチャード・アッテンボローってすごい映画撮りますね。伝記ドラマ、社会派ドラマとしても堅実な作りなのにサスペンス要素もきちんと入れて映画の娯楽性の重視している。
この作品も何度か鑑賞しました・・実話を基に製作された🎬です。


1970年代・・アパルトヘイト(人種隔離政策)下の南アフリカで人種差別と闘った白人ジャーナリストと黒人運動家の信念と友情を描いた重厚な社会派ドラマになっています。

最後の白人ジャーナリストと家族の亡命シーンには何度観てもハラハラドキドキさせてくれます。
chizuchan7

chizuchan7の感想・評価

4.1
南アフリカは少しだけでも夜明けが見えた?でもまだまだ夜明けは遠い国や地域がある 太陽を何百回何千回廻ってもいつか夜明けがきて欲しい
ニュースでしか知ることは出来ないけど 忘れてない気にかけてる 夜明けが来ることを願ってる
ああ、ビーコー、ビコ、ビコーオオ♪
スティーブン・ビコに捧げられた、ピーター・ゲイブリエルの歌「ビコ」を今一度!ミュージックビデオに映画のシーンも盛り込まれてます。そして今、世界の目が見つめている。
Gatt

Gattの感想・評価

4.1
凄い作品。
アパルトヘイト存続中の制作と上映。
デンゼル・ワシントン&ケビン・クライン主演

人種ものをみると、白人側の態度にいつもはらわた煮えくりかえる思いです。人間扱いでない。反抗するものはリンチ以上の半殺し。いや、スティーブ・ピコは殺されました。ピコだけではない、多くの人が逮捕され、殺された。「自殺」「発作」「階段から落ちた」と記録されて。

生々しい拷問された死体の傷。
乱射された弾丸で血に染まっていく少年。
心に刻まれます。

ピコの死のシーンは凄まじいものがありました。横たわる全裸のデンゼル。
「演技かもしれません」冷淡に言い放つ下衆警官。腐ってる。

賢く若々しい姿のデンゼルからは、優れたリーダー像が感じ取れました。
「劣等感が最大の敵」人生にも響く言葉ですね。

後半の亡命劇はサスペンスフル。
南アの実情を世界に発信する為に、逃亡するケビン・クライン。
実話なので成功するのだけど、
そこでほっとさせないで、ソウェト蜂起をぶち込んでくるのが、この映画。
心の爪痕を残し、いても立ってもいられない気持ちにさせる。

時代は確かに変わったけれど、忘れてはいけない過去。
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