オダヤカ

傷物語Ⅲ 冷血篇のオダヤカのレビュー・感想・評価

傷物語Ⅲ 冷血篇(2017年製作の映画)
4.9
これだけ長い制作期間を擁した上わざわざ三部作にしたということで、TVシリーズと同じレベルの”映像化”だったら叩いちゃうかもと危惧してたがちゃんと意味のある”映画化”になっていたので劇場版傷物語三部作の意義について書く。

三部作それぞれコンセプトみたいなものがあり一部は古典サスペンス調(フィルム・ノワールってやつか?)、二部がSFアクション調(オープニング映像・BGMがモロ)、三部が傷物語本編となっている。

正直一部は演出がクドすぎて僕の中では滑ってるんだけどコンセプトをはっきりさせ三部に分けた意味を見せることはとても大切。

あとがたりで神谷浩史も指摘していたが劇場版三部作ではTVシリーズや小説の特徴である阿良々木暦一人称語りが排除されほとんどを映像で表現している。アニメキャラクターが演技をしていて映像的に伝える役割を担っている。これはシャフトが得意とする手法でもあるので今回の劇場版との相性が非常に良かったしシネスコサイズで作ってあるのも尚良い。

三部での人類代表阿良々木暦とキスショットの最終決戦をオリンピックモチーフでやったのはクサ過ぎたけどスケール感のあるとても映画的な演出で大好きですね。体育倉庫の十字架の下での懺悔からのエロギャグシーンの落差もとても良かった。

偽善者阿良々木暦が如何に偽善者たるかの行動原理を探る物語シリーズの前日譚として意義のある”映画化”だったように思います。
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