ルイまる子

マイ ビューティフル ガーデンのルイまる子のレビュー・感想・評価

5.0
Are you me?
と思いました。いやこれ私でしょう、、彼女が完全に外界に対しシャッターを閉じてるところ。いや、微妙なラインでシャッターを閉じている。愛想は悪くないし皆に嫌われてるわけでもないが、これ以上入って来るなよとはっきりラインがあり孤独を愛するというより、孤独でないと生きていけない。他人と違う世界に居る。また、日々の生活スタイルの神経質なことよ。私は流石にワッフルをまっすぐ縦横線の通りに切ったり、豆やお芋をシンメトリーに並べてからじゃないと食べれないとか、時間が6:30とかデジタル時計がピッタリした数字を刻んだ瞬間でないと食べ始めれないとか、日月火水木〜と歯ブラシも着る服も全部決めてたり、ドアの鍵を異様に何度もチェックしたりはしませんが。彼女の発達障害的(天才かも?)パーソナリティと生い立ちに理由がある、その不幸もこの映画ではファンタジックでユーモラスな描き方だから好き。寝顔を見るとめちゃくちゃ美人なのに髪型や服装や雰囲気動きなどの変人っぷりから美人には見えなかった。しかし、単なる奇人変人じゃなくプラスアルファの可愛らしさがある「不思議ちゃん」。しかし昔は「不思議ちゃん」なんていう愛くるしい呼び方はなかったから現代の人は恵まれてるなーと感じます。嘗て奇人変人は社会からのつまはじきものでしたから。そういえば、変人が本当に着たい服を着ずに周りが良しとする服を着て、言いたいことあるが、無理やり口にチャックしニコニコ頷いてその場をやり過ごす、帰宅するとドット疲れ毎日寝込むくらい生きてるだけでしんどかった時代は、隠れゲイが男のふりして生きていた苦しさに似てますね(単なる変人と隠れゲイのしんどさは比較にならないかもしれませんが)。

映画の中で大好きな小さな場面がたくさん散りばめられています。
シングルファーザーのお隣さんからクビになった家政夫が小さなカーテンから毎朝それなりに?凝った朝食を隣のじいさんに渡すのもいいし(小さな幸福な柄のカーテンが付いてます)、そういうところが大好き^^

一ヶ月という期限を決めて、絶対に絶対にできない庭の手入れを植物アレルギーの彼女にさせるのという設定も好き。絶対に絶対にできないことっていうのは、期限を決めて、これができなければもうホームレスしか道がないとかそこまで追い込み、またお隣さんというこれまた異常な変人のおじいさんがサポートしてくれる、だから彼女も仕方ないが始める、始めてるうちに出来るようにになってくる。そういう出来ない人間への温かさが溢れている物語が大好きです。

なんしろバカみたいにナンセンスで、彼女の家と庭、変人じいさんのお隣さん、図書館の生活圏内だけで起こる日々の超なにもない映画ですが、何故か何故か全部登場人物から小物から日々起こるくだらない出来事から会話から全部好きでした。

フラれたと思い込み三日三晩寝込んで死にかけた彼女を慰める二人がいて良かった。あの人達は彼女にとってお父さんとお兄さんかな。おじさんとおじいさんかしら。。笑

そしてそのフッた彼氏が、実はフッてなかったという下りもバカみたいだし、あまりに下らない理由だったり、どうでも良い出来事をなぜそこまで細かく?と呆れましたが、心温まる。しかし、人間不信だらけだった彼女に「そこまで人間不信にならなくてもいいんだよ」という明示的なエピソードではある、ということはとても大事でしたね。前言取り消し。。これ久々に繰り返し見たい映画。DVD買おうと思った。
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