ぴのした

トンネル 闇に鎖(とざ)された男のぴのしたのレビュー・感想・評価

3.8
安定の韓国映画クオリティ。面白いしメッセージ性も強い良作。

崩落したトンネルに閉じ込められた男の決死の脱出劇…!!て風にハリウッドなら作ると思う。

ただやはり韓国映画、蔓延する手抜き工事、人の命より経済を優先する政府や国民、ネタ性ばかりを追う報道陣、そういうものへの批判や皮肉がとにかくすごい。主人公が死地で奮闘する様とか、主人公と奥さんの絆とか、そういうのがメインの映画じゃない。韓国社会への皮肉を描くための映画。


韓国では昔から手抜き工事とかセウォル号での事件の政府の失態とかあったし、そういう意識はあるんだろうね。この映画ができたのが2016年で、ちょうど朴槿恵弾劾の時期なんだよな。そういう背景もあるのかもしれない。

日本でも人ごととは思えないんよな。3.11以降、原発再稼働を巡る問題とか、被災者へのバッシングとか。この映画に出て来る政府や市民、マスコミの底意地の悪さは、日本でも同じようにあると思うんよな。

まあとは言えこの映画、説教くさくなりすぎず、映画としてしっかり面白くできてるのでさすがだなあと思う。

奥さんむっちゃ可愛いなと思ったら、是枝監督の空気人形の人か。