回想シーンでご飯3杯いける

アシュラの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

アシュラ(2016年製作の映画)
3.8
都市開発にまつわる利権獲得の為に、殺人依頼等、裏で悪事を重ねる市長と、奥さんの手術費を稼ぐ為に彼の手伝いをする刑事の物語。この2人を筆頭に、出てくる人間が全員悪人でクズ。日本映画的な共感は全く無く、その腐敗した街の光景をグロテスクに描き出す、韓国らしい胸糞系のサスペンス映画だ。

市長を演じるのは「哭声 コクソン」での祈祷師役も印象に残ったファン・ジョンミン。本作は、まず彼の権力に狂った狂人ぶりが見所だ。豪快に笑っていても目は笑っていない。本当に不気味な人物像。他の登場人物もクセモノばかりで、前半はやたら暗くて正直厳しい感じかと思ったものの、役者の強烈な演技に目を奪われ、どんどん引き込まれてしまった。

特に、終盤の葬儀場でのバイオレンス・シーンは、この手の描写が多い韓国映画の中でも際立つ壮絶さ。流血の量は「哭声 コクソン」や「アジョシ」を超えているかも。いやー、こんな映画観ちゃって、人としてまともな感覚を保てるのか心配になってしまうレベルだけど、相変わらず韓国映画の本気を感じさせる、超パワフルな作品だった。