ケイスケ

アシュラのケイスケのレビュー・感想・評価

アシュラ(2016年製作の映画)
4.2
あー面白かった。こんなに主人公の行動が裏目に出る映画は『ミスト』くらいでは。

主人公のイキリっぷりが楽しい。主人公とりあえず、「なめてんじゃねえぞ…この野郎…!」とイキる→相手が「あのさぁ、そんなこと言っていいの?」と主人公に不利な物を出す→「クソッ!チクショウこの野郎!」と屈服する主人公。

中盤まではこれの繰り返しっちゃあ繰り返しです。主人公がチョン・ウソンだからか「何かやってくれるのでは?」という期待感もありますが、とにかく主人公がひたすらパシリとして扱われるかなり珍しい作風。完全に権力者の犬ですが、西島秀俊似のイケメンだからか余計に哀れさが際立ちます。

主人公以外のキャラクターもみんな素晴らしい。最初の“棒切れ”と呼ばれる怖いチンピラを更に恫喝する主人公ドギョン。そのドギョンをさらに脅しにかかるファン班長。さらに上には恐ろしい連中が…。この時点でクズのインフレ現象が始まります。

やはり一番やべーのはファン・ジョンミン演じるパク市長。クズしかいない登場人物の中でも物語を掌握する最強キャラです。何がやべーやつって、人を叱るときのワイシャツにフルチンという佇まい。自分の腕をぶった切れと命令するのは、もちろん脅しのテクですがコイツなら本気でやりかねん狂気さ。

中盤のどうやって撮影したか分からない迫力のカーチェイスも好き。ここはもうドギョンのヤケクソが半端ない事になっています。頭から血を流しながら「クソが!」「やってやるぞこの野郎!」と連呼する主人公。こえーわ。ラストの血塗れ乱闘シーンは圧巻。もうここまで来ると清々しくて笑っちゃう。

数あるバイオレンスな韓国映画でもなかなか好きな作品。でも正直、人を選ぶかな。その分ハマる人にはとことんハマるカルト作品になりそう。自分もその一人でした。