タケル

アシュラのタケルのレビュー・感想・評価

アシュラ(2016年製作の映画)
4.4
市長が悪すぎて、こんな狂気に満ちた悪のカリスマが市長の座で満足できていることに違和感を覚えた。こんな市長はいない。ではなく、こんなイカれた人は市長レベルに留まっていられない。たぶん、世界を裏で牛耳る秘密結社のボスとかになれるレベル。

そんな市長のパシリにされつつ、彼を追う検察にも協力させられる主人公の刑事。とにかくこの人が情けない。惨めだし、確実に悪人なんだけど、なぜか憎めない。「板挟み」を経験したことのある人なら共感できる、焦燥感と不甲斐なさを上手く演じられていたのだろう。

自分より上手くやれてる子分に対するジェラシーと、悪の渦へ巻き込んでしまったことへの罪悪感が入り混じった複雑な感情も上手く伝わってきた。そう、彼は非常に人間らしいのだ。

そんな彼が泥臭く地べたに這いつくばり、時にはフラストレーションを爆発させつつ奮闘する様には心打たれる。悪の渦のどん底で、彼が導き出した答えにも納得がいった。

今、自分の中で、静かに韓国映画ブームが巻き起こっている!
タケル

タケル