シネフィル母ちゃん

否定と肯定のシネフィル母ちゃんのレビュー・感想・評価

否定と肯定(2016年製作の映画)
2.9
以前、高須クリニックの高須院長がTwitterで「アウシュヴィッツは捏造だと思う」と発言していたのを目にして、「こんなことを思う人もいるんだ…」と、衝撃を受けていたこの問題。
でも、こういう考えの人は他にもたっっくさん居るんだろう。
なので、過去にその考えを持つ歴史家と法廷で争った事件を題材にしたこの作品は、観る前から楽しみでしかなかった。

実際に起こった事件を、法廷で「無かった」「あった」と争うことの虚しさったら…。
怒りと憤りを感じてしまった。
遠い国のお話と思いがちだけれども、日本も慰安婦問題があるし他人事とは思えない。


ただ、私にはレイチェル・ワイズ演じるデボラに、主人公としての説得力と魅力を感じることが出来なくて、彼女に対して途中からは「いいから黙れや!」って思ってしまった。
この映画、蓋を開けてみれば主人公は弁護士軍団だったよ。
レイチェル・ワイズは主人公ではなく、ヒステリックなヒロイン的存在。
優秀でかっこよすぎる弁護士軍団が、クールであまりにも素晴らしすぎて、デボラの感情的な発言や行動にはイライラ。


なので、
新聞記者たちがカトリック教会のスキャンダルを暴いた実話を描いた『スポットライト』のように、この作品も弁護士軍団を主役にして、彼らのチームワークと優秀さを全面に描いてほしかった。
難易度が高い裁判に挑む彼らをもっと観たかった。。