片腕マシンボーイ

否定と肯定の片腕マシンボーイのレビュー・感想・評価

否定と肯定(2016年製作の映画)
2.8
ホロコーストは本当に実在したのか?数多くのユダヤ人がナチスに虐殺されたのは事実なのか?
マシンボーイはホロコーストによる虐殺が事実だと教わったんで疑うことなく信じているけど、証明しろと言われてもできないし、それが嘘だと理論を並べ立てられたら簡単に揺らぐくらいの知識しかない
正直言えばリアルタイムにテレビで中継を見ていた911のテロだって今思えば実感なんて無いし、実は作られた映像だったんや、って報道されたら信じてしまいますもん

ホロコースト否定論を掲げる歴史学者に訴えられたホロコーストの専門家のおばちゃんが、受けてたってやろうやんけ!と裁判でバチバチなる話

実話らしいけど、なんかやるせない話よなぁ…
結局は歴史的に事実であるとか、普遍の正義とか、被害者の思いとか置き去りにして、歴史学者同士のプライドとプライドのぶつかり合いにしか見えなくて、相手の言い分を理論でめちゃめちゃに叩き潰した方が正義!っていうブレーンバスターみたいな力技の裁判にしか見えなくて残念やったわ

マシンボーイは近代史興味ないから全く詳しくないから、加害者側としても被害者側としても実際にホロコーストを体験したという証人が未だに生存していて、数多くの状況証拠もある以上、ホロコーストで多くの人々が虐殺されたのは事実なんやろうと信じることしか出来ないよ
でもさ、例えばすごく古い例えやと、パキケファロサウルスってマシンボーイが子供の頃はその分厚い頭で頭突きして身を守っていた、って説が当たり前やったんやけど、今やあの細首で頭突きなんかしたら首の骨折れて死んでまうわ、ってのが常識やないですか
1192年いい国つくろう鎌倉幕府のはずが、1185年鎌倉幕府成立になってっし
もっと最近の話やと、西郷隆盛ってあの教科書で見たゴリゴリのゲイのお兄さんみたいな容姿ちゃうらしいやん?
歴史の認識ってどんどん変化してるんよなぁ?数十年、数百年後に、その時代の子供たちはホロコーストをどのように学ぶんやろうか?

それにな、歴史で大切なのんって決定的な事実よりも、それを探求することにあると思いますのよ
人間ってホントに猿から進化したん?
劉備玄徳は本当に徳の将軍だったの?(あれは三国志演義という小説の脚色やね)
邪馬台国ってどこにあったの?
斎藤道三の国盗りって親子2代の話なん?
本能寺の変で信長を殺したのは本当に明智光秀の策略なん?
小早川秀秋はなぜ西軍を裏切ったのか?
坂本龍馬を、ジョン・F・ケネディを殺したのは誰?
歴史って謎が多いから面白いし、歴史って解明されきってないから興味深いし、たくさんの可能性があるからこそワクワクなる思うんですよなぁ

本作でホロコースト否定論を掲げた男は確かにろくでもない糞野郎だけども、ホロコーストは無かったなんて言われたら被害者の方々には想像を絶するような苦痛だろうけども、ホロコーストという悲劇の歴史を紐解いてワクワクするとか言ったら不謹慎でしかないのかもしれないけど…
ホロコーストは無かったと信じ、それを証明することに人生を賭けたおっさん、彼の所見を頭ごなしに押さえつけ叩き潰すようなやり方は歴史を紐解く上で最もつまらないやり方やと思うし、自由に信じる意見を言えないような退屈な世界で歴史の解明なんてちゃんちゃらおかしい思うのであります
南京大虐殺?そりゃ日本にも中国にもそれぞれ言い分あるわね、それだけの事件なんやから

ホロコーストを否定する歴史学者のおっさんな、ナチ信者の差別主義者、ムカつくおっさんやけど転んでもただでは起きない姿は、歴史学者としてのプライド傷つけられてぷんすかなってる器の狭いヒロインのおばちゃんよりも新しい真実を開いてくれそうな妙な胡散臭さがあったわ
実話が基になってる作品やけど、本当にこんなにゴリゴリの悪党やったんかな?

で、なんだかんだ裁判終わっても話は平行線で何の進歩もない物語に実話ならではのリアリティを感じると同時に、ドラマとしては何の面白味も感じず、裁判に勝ったんやからあんなバカの事なんて放っておけばいいのよ、ってなヒロイン達の考え方にやはり歴史学者として以前に人としての視野の狭さにガッカリしましたよなぁ…

あ、マシンボーイ的にいっちゃんウキウキなったポイント言って良い?ヒロインの飼ってるワンコロ可愛かった!ぺろぺろ
ワンコロはかわゆい!ワンコロは正義!それだけは紛いもなき普遍の真実!ぺろぺろ