何故かずっと気になっていたこの作品をようやく見たけど、全体の画面構成が良く冒頭の演出が特にお気に入りの作品となった
子供と犬が戯れる場面から始まり、知人の集まりから車で帰路につく主人公が何かを轢く展開になるのだけど、その何かを轢いた主人公の暫し呆然とした顔が実に現実味を帯びていて、その場から立ち去った後で後悔する点も含め共感を覚え、窓に意味深についた子供の手形もあり実に緊張感溢れるシーンとなっていた
そして以上の冒頭のシーンが良かったこともあるが、至る所に影のある映像や周囲の明るい雰囲気に反して暗い表情の主人公を見ているだけで、もしかしたら子供を轢いたかもしれないという彼女の罪悪感がよくわかって目が離せなくなった
加えて人物の身体が分断されたり首から上が見えないような死を想起させる構図、ホームビデオの不気味な白い線、サッカーの試合中に突然倒れる少年等不安感を煽る描写も散見され、そうした主人公と同じ落ち着かない心持ちにさせるような演出の数々にも上手さを感じた
しかし主人公の生活を追うような展開を見ていくと、彼女がほとんど行動を起こしておらず周囲の知人や召使いのような人物らばかり動いていることがわかり、白い肌と茶色い肌、使う者と使われる者の対比も相俟ってそこにタイトルの持つ皮肉的な意味が感じられるようだった
ラストもいつの間にか解決しているような雰囲気になってそれでいいのかとも思ったけど、そういうところも含め静かな闇がじわりと感じられるこの作品は、映像が良いこともあり好きな部類の映画となっていた