ながみ

君の名前で僕を呼んでのながみのネタバレレビュー・内容・結末

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

エリオの周りを取り囲む、あらゆる曖昧さに似た優しさがひどく好きだ、と見返していて思った。友人然り、両親然り。
その中でたった一つ、優しいのに本当は優しくないまま光っている、そんなひとがオリヴァーだった。
今より少し昔のこの時代、彼ら二人がひと夏の思い出になったのは仕方のないことだったのかもしれない。けれど、時代も関係なしに、彼らはどうしたって終わりを迎える関係でしかなかったのかもしれない。
彼らが少しずつ近づいて、触れて、離れていく。その過程を私達は、「いずれ必ず訪れる終わり」を予感しながら見ているしかない。それがどうにももどかしくて、またこの作品を完成させている要因の一つだと感じる。
割れたガラスの破片がきらきら光るような、そんな儚くて綺麗なものを見た。そして、ガラスを割るに至った俗的な欲求ですら、最後には美しく輝く。彼らの苦しみに触れるには綺麗過ぎた気もする。
何回も見返して、私も結局こういった綺麗すぎる言葉しか出てこないんだから多分、彼らのことは感じるしかないんだろうなと考えた。
ながみ

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