ひしくい

君の名前で僕を呼んでのひしくいのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.5
LGBTQ映画の傑作として高い前評判を得ていた本作、2人がもどかしいくらいさぐりさぐり関係を築いていく過程を通して、エリオの自己探索・受容の過程を描いたComing-of-age映画であった。

感情描写に非常に重きが置かれていて丁寧、セックスよりもそれ以外の2人の触れ合い(肉体的接触以外も含めて)のほうが濃密に感じられるくらい。
そして音楽・効果音が印象的で、(エリオの)世界観に没入するのに大きな助けとなる 特にあの歴史ある別荘の中に「いる」感覚。

どこかでぐわーっと盛り上がる頂点があるタイプの話ではないし、ハッピーエンドと言える終わりでもないのだけど、気づかぬうちにしんしんと雪が積もっていくように、観終わった後にはある程度の満足感・充足感が得られるかなと思います。
あと無性に桃が食べたくなるか暫く桃を直視できなくなります。

予告を見た時はティモシー・シャラメ演じるエリオがアーミー・ハマー演じるオリヴァーに比べて随分幼く見えて、エリオの一方的な憧れに近い片想いに終わるか、オリヴァーが圧倒的にイニシアティブをとるのか、なんて想像していたけれども、そんなことはなかった。バランスのとり方が上手い。

別にそこまで重苦しい話ではない。クスッとくるシーンも多いし実際に場内では結構笑いが起きていたし。
あと「ルカ・グァダニーノ監督の男性のダンス・水泳シーンへの執着心よ」みたいなレビューがあって笑った。
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