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君の名前で僕を呼んでのnatsumiのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.8
普段恋愛ものというか青春ドラマ系はあまり好んで観ない、ということで今作もスルーするつもりだった。でも評判が本当に良くて、期待値高めで映画館へ。こんなに上げた期待値を上回った。これが自分の中の2017年ベスト映画になるとは思わなかった。この映画は昨日観たのだが一晩置いてからのレビュー、まだまだ余韻が冷めない。

ゆっくりと時が進むイタリアの田舎のある夏のお話。オープニングから一気に引き込まれた訳ではない。ストーリーは淡々と進み、起承転結のない日常系。でも独特な空気感や繊細な心情描写が本当に美しかった。ひと夏の恋なんてもんじゃない、一気に心の底にあった感受性が掘り出され、無防備に剥き出しにされた。

残念なイケメン役が多いアーミー・ハマーは今回はリプリーのジュードロウのような色っぽさを持つオリヴァー、そんな彼に落ちるのはTroye Sivan似の美少年ティモシー・シャラメが演じるエリオ。今回のアミハマの役はただのイケメンで終わらない弱さを見せることで、今作は二人のキャリアにとって大きな転機になったと思う。大人なオリヴァーと性に迷いがあるエリオの対比がみていて愛おしい。LGBTQへの差別も激しい時代の中、仕事で来た彼に近づきたいけど近づけないもどかしさ。俳優二人が本当に素っぽくてケミストリーが始終感じられ、リアルであると同時に胸の締め付けられ具合がどうしようもなく辛い。どうしてくれるんだこの気持ち…

エリオのオリバーに向けた視線がピントで表現されているのがすごく好き。たまに挟まれるクスッとできるシーンもリアルさが引き立つ良いスパイス。ピアノがメインのサントラに個人的にグッとくる80年代ポップスの組み合わせも良い。永遠に観ていたい、終わってほしくない瑞々しい夏、そんな映画だった。ハリウッド感動映画によくある、あきらかなお涙頂戴っぽさは感じられないのに泣ける。エンドクレジットのティモシーに拍手。

普段は一晩ぶっ通しで寝る自分だが、昨夜は途中で2回も目が覚め、起きる度に映画のことが頭にあった。帰り道に映画のサントラについてのインタビューを聞いたり、Spotifyで音楽を聞くだけで涙が出そうになる。二人のことを思い出すだけでしんどい。こんな熱い夏を過ごしてみたかった。