ERI

君の名前で僕を呼んでのERIのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.1
予告を観たときから心を鷲掴みにされていて、アカデミー賞でさらに観たくなり、今月一番楽しみにしていた作品。公開初日には行けなかったので、わたしが観る前にすでに観られた方のコメントをちらほら目にする機会があって、はやる想い。

GWの劇場はかなりの行列で人気のほどが伺えます。箱も小さいとこでしか上映してないし。列に並びながらわたしの胸は高まるばかり。(豪華版パンフレットはすでに売り切れで落ち込む。絶対欲しい)

さて、本編。勝手にどっぷり共感すると思ってたんだなと、観終わって気づく。共感する作品ではなかった。というかなんというか、これはエリオとオリヴァーのたった一つの恋というか。言葉にすると違うのだけど、なんだかもう余韻がすごい。もう一度観たいなぁ、出来ればもう少し人の入ってない映画館で。笑

エリオとオリヴァーの二人の時間はそれはそれは美しく、共感というよりはその美しさを堪能するような映画だった。イタリアの暮らしはうっとりするぐらい魅力的で、17歳の少年の元にやってきた学生は24歳で超絶クール。毎年くる学生の中でもオリヴァーは少し違った。だけどその違いがエリオにはすぐわからなくて、彼の仕草を、彼の振る舞いをただただ見つめている。恋は突然、自分の中に飛び込んできてこれはなんだと紐解いていくものだった。

恋は、するんじゃなくて、落ちるんだな。

17歳の少年の性の目覚めと一夏の恋。エリモがオリヴァーに対する気持ちに気づくまでの描写が丁寧に描かれていて瑞々しい。繊細で大胆な二人の距離感に釘づけになる。そしてティモシー・シャラメの魅力がすごすぎてずっと観ちゃうのです。どの角度からも魅力がすごいよ。

そしてもう一人の主役、アーミー・ハマーの圧倒的なイケメン感。みんなが彼を好き、という設定をゆうに超えて二人の男性の切ない揺れが見事に描かれていた。秘めた二人の恋は、両親は温かく見守っていてそこも今の時代だから描けたことなのだろうか。脚本はジェームズ・アイボリー。ゲイを公言している89歳の彼がいまこの作品を手がけた、そのことにもまたグッときます。

劇場を出てすぐ小説を手に入れる。セリフにしなかった行間を知りたくて、君の名前で僕を呼んでの世界にしばらく浸かる。君は僕で、僕は君。

Call me by your name....
ERI

ERI