同性愛を扱った作品ではあるが本質的なところは青春映画です。
序盤は少年のエリオがオリヴァーに気持ちを悟られるのが怖いのか彼らの交流はどこかぎこちない。しかし徐々に互いに探り合う関係がなくなっていくとモロに２人の心情が反映されるように映画は面白くなっていきました。中盤ぐらいまでの抑えていた演出が一気に噴きこぼれるようにドラマティックになる。
足を重ね合う場面や繋いだ手がすぐにほどけようとする場面も夜にお互いのことを語り合う場面も些細なことだがこの監督はそれが忘れられない青春の一場面ということを知っている。
Sufjan Stevensの楽曲がこの映画に溶け込んでちゃんと意味のあるものになっていて感動。ベルガモなる地を２人で旅する場面の美しさ。この瞬間がずっと続けばいいのにと思いました。
対照的な80年代のシンセポップもアーミー・ハマーのダンスによって輝きを増す。
この映画のテーマを言い出してくれる親父や受けのアーミー・ハマーの演技も素晴らしかった。ハーフパンツとハイカットのコンバース、白のソックス見せ。
ティモシー・シャラメの長回し撮影はある青春の終わりを表情だけで見せきった素晴らしい場面。観客にとどめを刺す。
いつ壊れてもおかしくない繊細さは昨年の「ムーンライト」が良かったのだが特にそれを問題としてない、突き抜けた映画でした。
