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君の名前で僕を呼んでのmQのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.9
GWだからか、はたまたファーストデイだからか、会場はほぼ満席状態でした。女性8割くらいでしょうか。
(⚠️長文注意)

LGBTの恋愛に純粋に向き合い、葛藤やその後の燃え上がるような情交、そしてそれぞれの選択までとても丁寧に描かれていて驚きました。
ポスト・ドランとも言われているようですが、今作の方がドラン監督作より説明的だとは思います。
しかしこちらが彼等の表情から様々な感情を読み取る事でより深い哀しみや愛情を分かち合えるので、"感じる"ことが重要な映画です。

社会的に少数派であるLGBTの方々。しかし今作同様こうしてふとした瞬間に想いが溢れ隠すことすら出来なくなるほど相手を愛してしまうなんてことは、本当に異性間のみで行われている事なのでしょうか?
劇中でも語られますが、LGBTに分類される方々の多くは周囲からの抑圧や体裁、もしくは宗教によって身体のみならず精神までもが縛られてしまいます。

正しい道は自らが決めるべきですが、それ以上に人間にとって社会的に逸脱することや迫害される事は、死に値する恐ろしい事なんですね。

エリオとオリヴァーも互いに意識し始めるも、勿論一度は距離を置きます。
しかしながら、エリオのご両親がとてつもなく人権者なんですね〜
思い悩む息子に寄り添いながらも、悩み、傷つき、そして選択をしなさいと導きます。
社会的に少数派であり、未だ偏見の目がそこかしこに散らばるゲイセクシャルの方々の恋愛。
今まで関連作品をそれなりに見てきましたが、いつも思うのが周囲の環境について。
1人の人間として自由に選択し、自らの人生を全う出来る人のそばにはいつも理解のある家族や友人が寄り添っている気がします。

ラストの悲愴感は思い返したくないですが、オリヴァーの言う「大人になる」という事の苦さも含んでいて、この映画がゲイセクシャルの恋愛映画ではなく純粋なラブストーリーである事を噛み締めた次第です。
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