切なく甘く息苦しくてまぶしい。
ギリシャやローマの彫刻のような美し過ぎる2人の青年の、ある意味"奇跡的"な夏の時間とアリストクラットの文化的で優雅な生活を垣間見た。
でも実は、これが"全てが奇跡というわけではなかった"ところが一番素晴らしい奇跡だった、という逆説。(↓ネタバレへ追記)
最後の語りに人生の"本質"を見せ、ラスト長映しの表情に見ている側の感情をかぶせてしまう。観る側の人生が映し出される。
オマージュや文化的伏線がたくさんありそうで、きっと知識が追いついてないだろうことが情けない。
ネタバレ
たまたま出会って恋に落ちそれが成就してしかし夏が終わる。それは実は見守られていたこと、見果てぬ夢を託されていたこと、それが奇跡だったと思えた。
ハエは、"熟している"ことをあらわすというより、もはや彼の"人生の意味"の死が始まっているという事の暗示なのかと思った。別れたことで。人生のピークを過ぎたかのように。
"僕の名前で君を呼ぶ"行為は、日常に無い。
つまりそれをする事で、まざまざと彼との時間が蘇らせることのできる魔法の呪文なのでは?
もちろん同一性の強調なのだろうが、それだけには感じられなかった。