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君の名前で僕を呼んでのnanamiのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.8
まさに究極の愛の物語。
同性愛系作品でよく出てくる
"第三者からの否定"を取っ払い、
エリオとオリヴァーという2人の人間の恋の行方に
焦点が当て続けられている。

本作は自分がはじめて観た
同性愛ものの映画だったんだけど、
愛に性別なんて関係ないんだな...っていう
価値観を与えてくれたきっかけの作品。
観た事ない方は、
同性愛とか気にせず是非一度観てほしいです...。

本作の魅力は、まず音楽が良い。
切なげで繊細で美しい曲が多く、
本作の世界観を確立する基盤となっている。
そんな音楽を通して、
自分の気持ちをなかなか言葉に出さない
エリオの繊細な心情を音楽が代弁してくれる演出も最高...。

ちなみに、
本作のサントラの核となっている歌手
"スフィアン・スティーブンス"が本作に提供した、
主題歌の“Mystery of Love”と
エンディング曲の“Visions of Gideon”は、
スフィアンが本作の映像を観ていない状態で
書き下ろしたのだそうで...。
非常に数奇で運命的な、
歌と音楽の結び付きにも心驚かされる。

あとは何よりも、
心臓をギュッと締め付けられる様な
印象的なシーンが多い!
特に見所である"お互いを自分の名前で呼び合うシーン"には、
2人の相手に対する愛の深さが伝わってきて、
こっちまでドキドキさせられる。
ただ愛してると言うよりも愛を伝えられて、
受け手もそれを感じられる行為だなと思えた。

ラストシーン間際の、
エリオの父が息子に語りかけるシーンもとても好き。
本作は80年代前半が舞台だから、
今よりも同性愛に対する偏見が大きかったと思うんだけど、
息子の気持ちを頭ごなしに否定せず、
尊重して優しく励ます父の愛の深さは
本当に素晴らしい。
父に限らず、エリオの周りで同棲愛に対する
拒絶を出す人は出てこないし、
ここはなんて優しい世界なんだ...と思えた。

あとは何よりもエリオを演じる
ティモシー・シャラメの演技が光るラストシーン。
もう言葉に出来ない素晴らしさ。
ラストに全てが詰まってる。感涙必至。

夏も目前になったし、近々また観よう。
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