たつかわ

君の名前で僕を呼んでのたつかわのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.0
世界観

LGBT作品には、抵抗や差別といった外側からの攻撃が必ずある。例えば2000年以降はアカデミー賞をにぎわした「ブロックバックマウンテン」、「ミルク」、「ムーンライト」そして今年の外国語映画賞作品「ナチュラルウーマン」といった作品には必ずあったが、本作には攻撃が一切ない。80年代の設定、カトリックの総本山であるバチカンの近くにある北イタリアでのお話なので、かなり意外だった。

この異色のLGBT映画には美しい自然や、整然としたイタリアにあるクレマの街並みに加え、クラシックの曲を中心とした音楽の挿入されるタイミングも印象的でした。また1983年にラジオで流れていた曲をピックアップし、スフィアン・スティーヴンスのサイモン& ガーファンクルのようなエンディング曲もあり、映像と音楽に関しては完ぺきと言わざる得ない。これでは外側からの攻撃といったものはこの世界観には適切ではない。

ストーリーは高校生が避暑地でたまたま出会った人とひと夏の初恋のお話という古今東西ありそうなお話なので、ストーリー自体は平凡だが、上記のような世界観に加え、父親の独白と最後のワンカットで満足の高い作品となった。

おススメです。
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