木葉

君の名前で僕を呼んでの木葉のレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.8
この映画の何が素晴らしいかって。
予め我々は、物語の成り行きや、結末がわかっているのに、何故だか、主役二人の恋のはじまりのサイン、恋の過程や二人の目線表情から何かを読み取ろうとして目が離せない。
二人の美青年、官能的なシーン、80年代を匂わせる音楽、ピアノの旋律、北イタリアの風景がハイセンス過ぎて、背景が優ってるところもあるんだけど、ラストが素晴らしい。
父親の叡智に満ち、深い愛と全てを許容し理解した言葉。
これに全てが集約されている。

恋って痛く切ない。
80年代まだ、LGBTに厳しい偏見や差別があった時代に、カトリック系なら尚更なのに、同性に恋をする。
本能的に、深いところで惹かれ合う。
君の名前で僕を呼んで、僕の名前で君を呼んでとは、君が僕で、僕が君で、それくらいに深いところで相手の一部になりたいと、求めていて。
誰とでも出会いと別れはあるし、恋にも終わりが来る。
恋は、相手の一挙手一投足に一喜一憂し、苦くて痛いものなのに、一瞬の深い喜びがあるから、人は恋せずにはいられない。
きっと理屈や理由や意味は要らないんだよね、人を好きになるのに。
揺るぎないところで人を好きになり、一つになり得て、分かち合えたんだったら、それ以上に素晴らしいことはない気がしてくる。
木葉

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