アカデミー賞案件ということで、やや遅ればせながら鑑賞。
美しい映像、ピアノの旋律、そして自然音。人工的な要素を極力削ぎ落とした世界観が、映画の中の「夏」を映えさせる。
物語の方は、エリオとオリヴァーの恋路の結末に「一夏の物語」という設定が加わり、「切なさ」が鑑賞後も心に残る。この「切なさ」に多くの人が嵌まっていることには納得がいく。
個人的には、どうしてもLGBTがテーマのラブストーリーで最高傑作だと思っている『アデル ブルーは熱い色』と比較してしまい、そことの比較でやや物足りなさを感じてしまった。ただ、終盤のフラットな視点からのメッセージなどは、『アデル』にも無い今作独自の美点であり、決して悪い映画では無い。