モウドクウサギ

君の名前で僕を呼んでのモウドクウサギのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.0
「アーミー・ハマーのチンポがデカすぎて、短パンからはみ出ていたからCGで消した」という町山さんの音声解説を先に聴いてしまっていたため、結末や原作者の意図を知ったうえで視聴。確かに、素朴で美しい自然と街並みが穏やかに切り取られ、青春のひとときを演じきったティモシー・シャラメくんは素晴らしい。ギリシアの兄弟愛文化を現代に復活させつつ、原作者自身を各キャラクターに投影させたというのもわかる。しかし、訴えたいメッセージや軸足が違うから、葛藤が弱いと言われていることもわかるのだ。なら、苦しみぬいた10年前以上の映画:ブロークバックマウンテンに個人的には軍配が上がる。穏やかさは時に冗長に、ウェットさは精神面ではなく肉体的な欲求に引っ張られている印象を残す。良し悪しではなく、個人の好みが合わないとやや辛い。重ねて他の映画と比べるのはそもそも愚からしいことだが、同じ17歳なら「リズと青い鳥」の方が良く分かる。根本的な文化の違いかもしれない。一方は学校内でくすぶるプラトニックな恋、一方は自然と陽光の中繰り広げられる濃厚な情交。ただ、いずれも内に燃える炎を無視せず、各々羽ばたいていくといった、差異はあれど青春の一瞬の儚さが閉じ込められている。