さえ

君の名前で僕を呼んでのさえのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.3
夏の暑さと、冷たい水、植物と光。
避暑に訪れたというエリオの日常を丁寧に切り取り、ゆっくりと流れる時間はまるで永遠の様に見えました。

主演、ティモシー・シャラメ。
彼の言葉の一つ、仕草一つ、美しい映像に溶け込んでしまいそうな存在感。透明であり、人間らしい個性に一瞬で虜になりました。

この物語に決して難しいことなど何一つなく
近づきたい、触れたい、嫉妬させたい、自分のすべてを知っていてほしい。そんな多彩で繊細な17歳の思い。
そして、多くの人が経験したであろう痛み。
時が流れて行くことを忘れさせてくれる様で、しかしゆっくりと、でも確実に時間は流れていました。
儚くて、戻れないなら忘れたい、
でもその気持ちに抗うエリオのラストシーン。
息を呑みました。
痛みを葬るな、とその言葉に何人が心打たれたでしょうか。

カメラ一つで撮ったというこの映画。
多くのCG映画に見劣らないどころか、変化し続ける自然の美しさを見せてくれました。
劇中に語られた多くの文献。読むことや書くこと。音楽…
気持ちを削り取るなというセリフは、
私には、まるで今の時代にも言っているように聞こえました。

傑作です。