あや

君の名前で僕を呼んでのあやのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.9
700本目。

嫉妬が横滑りして、好きと自覚する瞬間は、決定的じゃないけど、決定的で。
今までと同じように接することなんか、
できない。できるわけない。

思春期、17歳。
年上に対して、憧れとともに嫉妬や、毛嫌いする感情が渦巻く時期。

彼は17歳という若さで、身を焦がすような情熱と、それを失う絶望を味わった。
きっとこれからの人生の中で、思い出さない日はなく、忘れることもない。

(あらすじ)
エリオ(ティモシー・キャラメ)、17歳。
考古学者の父親、翻訳家の母親に連れられて、北イタリアのあるところに避暑にやってき、読書や編曲、たまに夜遊びをしながら毎日を過ごしていた。
そこへ一夏だけのサマー・インターンとして、アメリカの24歳の大学院生であるオリバー(アーミー・ハマー)が現れ、エリオの生活は一変。魅力的なオリバーに周囲の注目を奪われ、どこか不機嫌な日々が続いていた。
ある日、彼の裸体を目にし、自分の中で揺れ動く感情に気づかされる。
その想いを秘めるべきか、伝えるべきか。
一夏の北イタリアで、美しく、情熱的で、儚い愛が始まる。

ラスト・シーンでのティモシーの約3分に及ぶ長回し。
圧巻の演技。涙を使わずに、途方も無い悲しみを湛えた彼の瞳を絶対に忘れません。

オリバーがエリオの肩を揉む、何気ないあのシーン。
悲しい答え合わせの後にもう一度見たら、ただの日常、ただの瞬間の大切さを思い知らされました。
勇気を出した、あの手のひら。
もっと早く気づいていれば、なんてことは後悔先に立たずですね。

オリバーの父親のセリフ。
「悲しみを忘れてはいけない。一緒に過ごした楽しさや喜びを忘れたらダメだ。」
息子の心情を痛いほどわかっている人だからこそ言える一言に、胸が痛かったです。

あのハエは、きっと「永遠の愛」に、常に表裏一体として存在している、「永遠の終わり」のカケラなのかな。
同性愛が許されていなかった時代の、ゲイの自分に纏わりつく、社会の邪悪な視線のメタファーなのかな。
と、ここで邪推を挟みます。

もはやアイラインが滲むどころではなく、無くなるほど泣いた作品。

ティモシーとアーミー、両者の信頼関係の上に成り立っている今回の役柄。
観ていて感情移入が止まりませんでした。

ティモシー×アプリコットのシーンですが、私は好きでした。
性的な意味ではなく、どうしようもないフラストレーションと悲しみという鬩ぎ合う感情が爆発する、という表現において、非常に新鮮な手法で、思春期ならではの考えがまた、エリオというキャラに親近感を与える要素になったのではないかと思いました。


「Call me by your name, l’ll call you by mine.」