であれば

君の名前で僕を呼んでのであればのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
5.0
夏は細部に宿るそうでそれは手作りのアプリコット・ジュースや水に沈めた裸足にあたる陽の光、樹の下で行う内省、水着姿で弾くピアノ、ディスコを踊るスニーカー、またはベッドを汚す桃の汁だったりするんだけども、同様に愛も細部に宿るのだろう、そしてそれは裸の肩に伝わる体温や一息で飲まれるアプリコット・ジュース、乱暴に食べられる卵、ベッドの下で重ねた裸足、「君に知らないことはあるの」と揶揄う声、身動きのとれなくなってしまった駅、そして僕を呼ぶ愛する人の名前。
やさしすぎる家族と恋人がとにかく手放しに彼らを見守りすぎてしまうゆえに「自分たちが今まさに主役」のように見えてしまう反面、それは彼ら自身が賢くやさしくて幸福だったから仕方ないとも勝手に納得した。夏と愛のせいだから仕方ない。これはもはや"I love you"ではなく"I need you because you are me."の話だった。

原作を書いたアンドレ・アシマンがとある役で少しだけ出演するのだけども彼の経歴と演じた役の意味を理解した瞬間になぜ愛する人の名前で自分を呼ばせたのか、自分の名前で愛する人を呼んだのかが紐解かれるように納得できて余計に泣けてしまった。