リコ

君の名前で僕を呼んでのリコのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.3
クィア映画としての位置付けは正直難しく、《麗しくて、切なくて最高!》と単純に絶賛できない(ホントはしたいけど)。私がこの映画にのめりこむほど、同性愛コンテンツとして消費してるのでは…という疑念が喉元に突き付けられている気がする。(ヘテロの恋愛映画には、それを感じないという点で自己矛盾なのだが)日本で公開されるクィア/LGBTの映画が極端に少ないのが原因なんでしょうかね。


映画そのものについては、言葉で表現するのが難しい。
映像それ自体が、百の台詞よりも雄弁に語っているからだ。(この映画の最も重要なメッセージは、終盤の父親の台詞ひとつに集約されている。)
「光で書く」という語源にふさわしい、彫刻的なシネマトグラフィーにまず圧倒された。
美しい自然、美しい音楽、美しい言葉、美しい俳優たち。
全てが眩く、「私のような下賤の者が足を踏み入れてスンマセン」と自棄になるような楽園。耳鳴りを感じるほど、スクリーンに陶酔したのは久々のことだった。
本作に感動した人の中には「これは私のことだ」と思う向きも多いだろう。生まれた場所も違えば、麗しい容姿でもなければ、ゲイでもない。けれど、エリオの感じた痛みや悦びは、いつかどこかで経験したもののように懐かしく迫ってくる。
オリヴァーの乗った電車がもう帰ってこなかったように、それをエリオがただ立ち尽くして見送ったように、私達もそれら「取り返せない一瞬」を追憶しながら残りの日々を生きていく。映画はその苦さを観る側に追体験/あるいは前もって経験させる。
それ故に、惹句のとおり万人にとって《生涯、忘れえぬ》1本となるのだろう。もちろん私にとっても。



《蛇足》
①女の子の扱い雑じゃね??
②エンドロールは、主題歌の空耳大会。
③原作のエリオはすごく饒舌。