レク

君の名前で僕を呼んでのレクのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.5
80年代の北イタリアの避暑地を舞台に、不安定な思春期の青年視点を主に描かれる心情。
現実世界に存在する物体や概念では説明出来ない真実在。
哲学者プラトンが説く"イデア論"として詩的に昇華した美しくも扇情的に描かれた作品だ。

それ故にこの手のジャンルを扱う作品としては葛藤や障害が少ない。
切ない青春ラブストーリー。LGBTを扱った作品。
言ってしまえばそれまでだが、この作品が含意するのはマイノリティの肯定。
好きになるという感覚はごく一般的なものだということを訴えたものだろう。


先程、プラトンの"イデア論"と記述しました。
プラトンの代表作に映画『娼年』で出てきた『パイドロス』の他に『饗宴』というものがあります。
師のソクラテスがディオティマという女性から聞いてきたという話として論じた恋愛論。

恋する者が最初に向かうべきは美しい肉体です。美しい肉体に向かったあとは、美しい魂に向かうこと。それによって肉体の美は魂の美よりも些細であることに気づくことができます。その後、美しい魂から「知識」へと向かっていかねばなりません。
(中略)
したがって、正しき恋の道は、地上の美しいものを出発点として、この美そのものをめがけて上昇してゆくという過程なのです。

自分よりも肉体的、精神的に優れた者に恋憧れるという感情を説くこの考え方こそが"美のイデア論"です。


原題「Call Me by Your Name」
詩的なタイトルの意味はエリオとオリヴァーの互いがないものに惹かれ、それを補い合い、ひとつになること。
相手は自分であり、自分は相手であること。なのです。