おこめ

君の名前で僕を呼んでのおこめのネタバレレビュー・内容・結末

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

北イタリアの美しさ、透明感に主演の二人があまりに溶け込んでいて、まさに芸術。
所々で登場する彫刻、エリオの弾くピアノの音色、田舎道を走り抜ける自転車、躊躇なく水に飛び込んでいく大胆さ、そういう場面全てがこの作品を象徴していて、どの瞬間も目が離せなかった。

エリオが時折見せる寂しげな表情や楽しそうな笑顔、たまに見せる冷たい表情、全てにおいて抑え切れない恋心が見え隠れしていて、どうしようもなく美しく切ない。
オリヴァーを待って六芒星のペンダントを口に入れている姿や、別れる時に弱く握った拳と出てこない言葉、家族に電話をかける姿、どれも本当に素晴らしかった。

ひと夏の恋の物語でありながらも、永遠を感じさせられる言葉たちは圧巻。一瞬で過ぎ去るような時間が、誰かの心には永遠に残り続けるかもしれない。
エリオとオリヴァーの純粋で儚い恋は、きっと二人の中では永遠で、かけがえのないものなんだと感じさせられた。

今まで感じたことのない感情、どうしようもない恋心、両親の深い愛情に支えられた、17歳のエリオの暖かく美しくて苦しい初恋。
心のままに生きることの素晴らしさに加え、現実の難しさや不条理まで描いた最高の作品。

これだけ素敵な物語においても、この繊細さや儚さを表現できるのはきっとティモシーしかいない。17歳のエリオの瑞々しさ、不安定な感情、彼じゃなかったらここまでの傑作にはなり得なかったと思わせる程の演技。それに加え、今の時代にこの映画を撮った監督も本当に凄い。

ラストの涙でティモシーは世界中の人の心を掴んだ。
狂おしいほどに眩しくて純粋で瑞々しい、激しく淡い初恋と深い愛の物語。
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