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君の名前で僕を呼んでのbluemomday0105のレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.8
「僕の名前で君を呼ぶ。君の名前で僕を呼んで」
タイトルにもなっている、このちょっと辻褄合わないようなセリフが出たとき、ここまでの流れと伝えたいことが繋がった。
既にいろんな方が書かれてますが、恋愛の本質とは「ひとつになりたい」というもので。セックスのことだけじゃなくて、「あなたという存在と同化したい」てこと。
近づきたい。気づいてほしい。そばにいたい。触れたい。キスしたい。抱き合いたい…そして「ひとつになりたい、共有したい」
「君の名前で僕を呼んで」とは、「あなたとわたしの垣根を溶かしてひとつになりたい」という求愛のサイン。

とてもエレガントで瑞々しく、美しい映画だった。夏の南イタリアの色鮮やかな風景も、エレガントかつ激しいピアノの音も、スフィアン・スティーブンスの染み込むような歌も、美しい少年少女たちも。

ティモシー・シャラメ、アカデミー賞で観たときは「きれいな顔してるけど、そこまで騒ぐほどかな?」と思ってたけど、これは衝撃だった。猫のように気ままでしなやかで、でも繊細さも伺えるエリオ!
あんな繊細な美しさが自分のものなら、毎日10回は自撮りするわ…乳輪まで美しいとかどういうこと。
アーミー・ハマー演じるオリヴァーの気持ちと自分の気持ちを知ってからの表情、その前と違うのですね。明らかオリヴァーを心に住まわせた顔。
ラストの何とも言えない表情も凄みあるけど、その前の電話での「エリオ…エリオ、エリオ…」の場面が切ない。

実際結ばれるシーンより、オリヴァーの足の甲に足の裏を沿わせるシーンがぐっときた。お互いを共有したい気持ちが伝わって。アプリコットのシーンがいろいろとエロい…。セックスアピールを具現化したようなアーミー・ハマーとの対比、お互い正反対のようだから惹かれ合ったともいえるし、五芒星のペンダントで同じルーツであることを知ったからより近づいたとも。
自分に近いようで全然違う存在に惹かれるものか…

あとお父さんの言葉よかったよね。
LGBTのユダヤ系という、当時ではマイノリティすぎるパーソナリティゆえに出てきた言葉なんだろう。
エリオの近くにいる人が皆優しいのもよかった。
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