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君の名前で僕を呼んでのもちのネタバレレビュー・内容・結末

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「モーリス」を思い出させるシーンがたくさん。ドア一つで繋がった部屋、ピアノの音色、芝生でごろごろ。美しさと懐かしさとはがゆさと…ひと夏に通り過ぎた、身体にまとわりつくような物語。

ただ正直美しいけれど、モーリスを見た頃の胸に来る物は無かった。歴史背景などが無いからかな。そこはあえて無くして、漂う空気感に重きを置いたのだろうと…。詩的にしたかったというか。新しいアプローチの映画として見ようとは思ったけど、どうしてもどうしてもモーリスと比べてしまう。

ひと夏の、現実から離れた場所で、少年の中ではじめて目覚めた想い。自分自身の中でのそれとの戦い、周りへの戸惑い、彼へのぶつけ方。美しい国を背景に、ギュッと凝縮してる。

きっと彼が秋を迎えるころに、この思い出は悲しいものから美しいものに姿を変えているのだろう。彼がそれを美しく思うにしろ、もしも後悔するにしろ、その全てを肯定してくれる、という映画なのかな。

そしてこの瑞々しさは、若い世代にはきっとキラキラとしたものに見えたんだろうと思う。
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