俳優の伊丹十三はヨーロッパ退屈日記において「ストーリーを直接語ることなくしても美しい映画が好きだ」と言っていた気がする。Call me by your nameはまさにそれが当てはまる作品だと感じた。
どこを切り取っても美しいその磨かれた感性にどっぷりと浸かる時間はたまらない幸福であった。
「アデルブルーは熱い色」を見ても感じたが、同性愛である人は感性が非常に豊かであり知性もある人が多いのではと思わせる。儚さの中にある美しさがあり愛とは何か芸術とは何か、考えたくなるのだ。
彼の葛藤やもどかしさは窓から入ると光や木陰によって、禁断の愛はアプリコットで表現されているところが好きだ。
爆音上映で観たこともありサントラも感情描写であるとひしひしと感じた。五感で何か感性を揺さぶられることに心地よさを感じる作品であった。