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君の名前で僕を呼んでのinotomoのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
4.4
夏は毎年、両親と共に北イタリアで過ごす17歳の少年エリオ。大学教授の父は、この避暑地に毎年、大学院生を一人アシスタントとして招き、夏を一緒に過ごす。1983年の夏、エリオと両親の元にやってきたのは、アメリカ人のオリヴァー。ハンサムで魅力的な彼は、すぐに周囲の人をとりこにする。最初は反発していたエリオも、次第に彼に惹かれていく。
昨年度のアカデミー賞脚色賞を受賞した作品。90歳になるジェームズ・アイボリーが脚色を担当。原作があるとはいえ、高齢なのに、こんなに瑞々しく美しい物語を書けるとは、本当に凄い。美しいイタリアの風景に、美しい音楽が作品を彩り、同性愛というテーマなのに、最後まで爽やかで、キワモノにならないように作られているのが、この作品の魅力。男女の恋愛物語であれば、ただのメロドラマに終わっていたかもしれないけど、男性同士で、決して結ばれることのない関係が、より刹那的感情を生み出し、心に響いてきたのかもしれない。エリオとオリヴァーの駅での別れの場面や、ラストぐっと涙をこらえるエリオの表情のアップが続く場面は、何とも言えない切なさにあふれていた。エリオを演じているのは、この役でオスカーノミネートのティモシー・シャラメ。「レディ・バード」では、あまり表情を変えない、スカしたモテ男を演じていたけど、この作品では、様々な感情にとらわれるナイーブな演技がすばらしく、オスカーノミネートも納得。オリヴァーを演じたアーミー・ハマーは正統派二枚目。キラキラと輝くオーラと色気があった。物語の中で、エリオとオリヴァーの関係を知りながら、咎めることもせず、暖かく見守る、エリオの両親が素敵で印象的だった。切なくとも清々しいラブストーリーでエリオの成長物語。秀作でした。
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