ふかづめ

君の名前で僕を呼んでのふかづめのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.8
17歳のエリオと、父の研究を手伝いにアメリカからやって来た大学院生のオリヴァー。1983年の夏の間、北イタリアの避暑地で一緒に過ごすことになったふたりが惹かれ、恋に落ち、別れるまでの話。
景色も音楽もティモシー・シャラメもアミハマも何から何まで美しい、けど、いちばんは、皆が言うように、最後に、オリヴァーと別れたエリオに向かってのお父さんのセリフ。

訳は忘れちゃったけど、ざっくり言うと
「時に、自然は最も意地悪な方法で、僕らの弱味を見つける。
今は何も感じたくないだろうし、今後一生何も感じたくないとも思っているかもしれない。でもお前は確かに感じたんだ。
君たちには美しい友情が、あるいは友情以上のものがあった。
痛みも怒りも追いやってはいけない。人は、早く立ち直るために心を切り取って、30の歳までには何もなくなってしまう。そうしてこの先出会う他人に与えるものも失ってしまう。(略)
心も身体も、一度しか与えられない。悲しみも痛みも葬るな、感じた喜びで満たせ」

まだ、30まではちょっとだけ時間があるけど、
大学を卒業する前に覚えて育ててしまった、
耐えて、忘れて、無かったことにするスキルに慣れてしまって、
あったはずの喜びまで忘れてしまうのは、確かに勿体ないし、
この先、必ず訪れる別れだって、別れてしまうなら時間の無駄だなんて、思えなくなる、そんなセリフじゃあないですか。
ふかづめ

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