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君の名前で僕を呼んでのpakeのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
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嗜好ドストライクの恋愛映画。
父と母の素敵さに又泣けた。

出逢った瞬間にこの人とは何かある、という直感がはたらくと、その人を嫌いになろうとするエリオに共感する。
その点オリヴァーは、初めから自分の感情を察して、受け入れてもらえないなら、と距離を保とうとしていて、やはり大人だったんだと今思った。

この映画の情景を思い出そうとすると
頭の中央に浮かんでくるのは、
桃のシーンだ。
この映画を観る前から、こういうシーンがあることは記事で読んでいたので、桃を採るところをみて、あのシーンが来るのか…とドキドキ。胸がはずんだ。
頭の中が愛する人とのセックスのモードの時、
桃に指を挿す音にさえも感じるのが、
滅茶苦茶にわかった。
少し胸が痛いとさえ感じた。
その桃をかじれる程に、エリオを愛してしまっているオリヴァーが切なかった。
ユダヤのネックレスがわざとらしく光ることに、いやらしさを感じた。エリオは忘れられなくなっちゃうじゃん。

父が言った、
大人になるにつれて痛みや悲しみを忘れようと、感情を削り取ってしまうけれど、そんな事をする必要はない。痛みも悲しみも幸福も平和も忘れないように抱えて、大人になればいい。
みたいな言葉が好きだった。
煙草を吸いながら、諦めたように優しく話してたっていうのも良かった。

エリオが女の子と屋根裏でセックスしてる時の、眼が堪らなかった。
あれはもうティモシーの眼だった。
だから余計やられた。
ああいう眼は見たことがあるな
どんな感情を奥に座らせて、女の子を見ているんだろうって、いつも知りたくなる。多分一生知らないままなんだろうけど。

女の子が身体で繋ぎ止めていた絆が、
いとも簡単に浅いものになる瞬間、
どうしようもなく同じ匂いを嗅いだことがあって、辛かったし少し微笑んだ。
「一生友達」の握手はきつい。私にはきつい。

芝生に寝転んでキスをして、
それでも手に入れた気がしなくて、
ズボンの上から触る
あの感じがとてもよく解ってしまって
美しい。

最後の雪のよく降る外、
暖かい家庭の中、
モノトーンの服を着たエリオ、
虚しく幸福な報せ、
暖炉が暖かいことにすら涙が出そう。

何の濁りもない恋が懐かしくなった。
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