颯空

君の名前で僕を呼んでの颯空のネタバレレビュー・内容・結末

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

何度観ても心を奪われる、美しく素晴らしすぎる作品。映像の面で言えば美しくないシーンは1秒たりともない。のどかなイタリアの田舎の風景と溶け合う美しい人々の会話や細かな行動、性描写なども含めて、人間の愛し合う様など日々の営みがあまりに美しすぎる。同性愛者同士の2人が主人公の、同性愛者故の悩みや葛藤を味わいながらも、相手が誰であろうと愛を分かち合う喜びを噛み締めるエリオとオリヴァーの姿は夏に熟れる果実のようにあまりに瑞々しく輝いていた。そしてエリオの父や母、エリオの友人達ら周囲の人たちの心も愛に満ち溢れている。エリオの父と母は、エリオが素直にオリヴァーが好きだと勇気を持って伝えても、それを蔑むどころか応援し支えてくれる当たり前ではない(でも当たり前であるべき)優しさで迎え、その家族愛に心温まり、お互い思春期の盛りゆえに2度エリオとセックスした、エリオに片思いのマルシアも、エリオのオリヴァーへの愛を、1度は傷つきつきながらもそれでもエリオの思いを支えてくれた。そんな男と女の関係では決して当たり前ではないその優しさに、とてもグッとくる。オリヴァーがアメリカへ帰ったあと、季節が変わって冬の中のラストでオリヴァーが結婚することになったことを知ったエリオも、内心傷つきながらも愛する人の新たな門出をちゃんと受けとめ応援している。その後彼が暖炉の前で泣き黄昏ているシーンで終わりを迎えるけど、思いを押し殺してまで愛する人の幸せを願う彼の優しく健気な姿ははあまりにも胸が締め付けられた。何が言いたいかって、とにかくこの作品には色々な人の '優しさ' が溢れている。エリオのオリヴァーに対しての、オリヴァーのエリオに対しての、そして周囲の人たちから、エリオ、オリヴァーへ対しての。観る度に心が洗われ、性別が何であれ、誰であれ、どんな形であれお互いがお互いを愛するということは本当に素晴らしいと感じさせてくれる。そして愛するということは、自分を愛し、受け入れることだということ。'Call me by your name, and I'll call you bo mine' 一生大切にしたい作品。スフィアンによる挿入歌、主題歌も本当に良い。'Mystery of Love'、大好きだ。
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