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君の名前で僕を呼んでのkisekireiのレビュー・感想・評価

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)
3.9
内容は全く違うけど
なぜか小池真理子氏の「恋」を読み終わった時の気持ちと同じだった。

形容し難い喪失感。
80年代が舞台というのもあるのかな。

17歳は恋をする季節で、それは生涯鮮明に憶えていて、大人になった時にそっと取り出してみる大切な思い出。

台詞がとても美しく、たまに直接的な言葉があるとドキッとする。
果物のシーンでエリオがその後泣いたのは、なんだか胸がキュッと締め付けられた。
自分ではなくなったような、どこに向かっているのか、この後自分はどうなるのか、色んな思いと愛しさがないまぜになる感情。
きっと自分が少し汚れてしまったとも思ったのかな…。
スッと覚める瞬間と、縋りつきたいような情念との狭間。

両親がとても素敵だった。
恋愛だけだったらここまで高得点にはしなかったけど、この両親の考えがとても好きだったのでこの点数になった。
子供を一人の人間として尊重すること。
愛することは罪ではなく、とても大切な経験。
父親の言葉はとても救いで、だからきっとエリオはまた素敵な出会いをすることだと思う。

美しい作品でした。
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