TAK44マグナム

オーシャンズ8のTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

オーシャンズ8(2017年製作の映画)
3.4
標的は一億五千万ドルのネックレス!


オーシャンズシリーズ最新作。
ジョージ・クルーニーが演じたダニー・オーシャンの妹、デビーが女子オンリーの犯罪チームを結成、超豪華なパーティであるメットガラの厳戒態勢の中でカルティエの伝説的なネックレスを盗む計画を実行します。
デビーを演じるのはサンドラ・ブロック。
そのほか、ケイト・ブランシェットやリアーナ、アン・ハサウェイなどが出演。

オーシャンズシリーズは未鑑賞なので、どうやらシリーズでおなじみの顔が出ているのですがよく分かりませんでした。
しかし、シリーズ未見でも、さほど問題は無いと思います。

デビーたちの目的はカルティエが50年間封印してきたダイヤのネックレスなのですが、デビーの個人的な目的が他にもあるんですね。
それは、かつて自分をだまして刑務所送りにした張本人、クロードへの復讐です。

基本的な流れとして、仲間集め→計画の準備→計画実行→復讐となっているのですが、この流れがあまりスムーズに感じられませんでした。
計画を実行してから復讐する段に、一息ついてしまうんですよね。それは、ある意外性のある出来事が起きるからというのもあるのですが、もう少し復讐の段階をサラっと済ませてしまったほうが良かったと思うのですが・・・

メインとなる実行段階の方が、よほどサラリとうまくいってしまうので少し拍子抜け。
綿密な計画なように見えて、けっこう綱渡りだと思えるのですが、大したピンチも訪れないんです。
元モサドなど最強の警備員がついたっていうから何か一悶着あるのかと思ったら、女子トイレには入れないでお役御免とは(苦笑)
細かい危機はあれど、どれもすぐに対処できてしまい全然ハラハラさせてくれないのは、ケイパー映画として些か弱い。

それだけ優秀な計画と仲間だという事なのかもしれませんけれど、刑務所で五年以上練った計画と言う割には初期段階で無理があるように思えてなりませんでした。
そもそも刑務所で練られるとも思えませんが・・・

まず、デザイナーを仲間にする必要が絶対条件。
でも、ヘレナ・ボナム・カーターみたいに条件にマッチしたデザイナーがたまたまいたから良かったものの、もし見つからなかったらそこでアウトです。
元々の犯罪者ではない者を仲間に引き入れるというのは、あまりにも困難かと思うのですがどうでしょう。
それと、終盤に明かされる「もうひとつの計画」についてはサプライズというより、何一つ伏線らしきものが無かったように思えて、非常に蛇足感を強く感じました。
復讐するためにお金を使ってしまった為に、仕方なく無理やり組み込んだように見えて仕方がなかったです。
と言うか、大掛かりすぎて普通に無理でしょう、あれは(汗)。
いきなり新キャラ(しかも○○○)が助っ人として登場するのもおかしい。

他にも色々とプロットに穴があるような気がしましたが、強引に流されてしまいます。
まぁ、その強引さも映画製作においては腕の見せ所なのですがね。


いくつか笑える場面もあるし、ちらほらと有名スター(マリア・シャラポワやケイティ・ホームズ、コモン等々)のカメオ出演もあって退屈はしませんが、一番面白かったのはデビーが出所直後、堂々と万引きしたり、ホテルの部屋を不正に使ったりする冒頭でした。
当方、メットガラというパーティを初めて知ったような門外漢なので、もしファッションや宝石に興味がある方なら、もっともっと楽しめるかと。
少なくとも、ゴージャスな輝きが目を潤してくれることでしょう。
男性陣は、アン・ハサウェイの胸元や、ちょい役のダコタ・ファニングが可愛いのをサービスとして捉えるべきかも。


総じて小粒な印象。
のっぺりしているので、もう少し物語の起伏を大きくして欲しかったですね。
絶対的権力である警察の介入が殆ど無いのと、嵌める相手であるクロードが小物なのもクライムスリラーとしては難点。
評価としては、平均的な作品かと思います。


劇場(シネプレックス平塚)にて