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オーシャンズ8のsanbonのレビュー・感想・評価

オーシャンズ8(2017年製作の映画)
3.5
"ファッションマシマシ宝石カタメ愛憎濃いめ"な「女の子の好きなものわんぱく盛り」的オーシャンズシリーズ最新作。

この企画があの「オーシャンズ11」の正真正銘の正統な続編だったとは夢にも思わなかった。

とはいえ、手触りとしては「元祖」の型落ち感は否めない出来であったと言う他ない。

まず良かった点は、冒頭の出所したての「デビー」があの手この手で「自分の望むもの」を次々と手に入れていくシーンだ。

人間の潜在意識の虚をついた巧みな詐欺行為の数々は、実際に悪用されやしまいかと心配になる程の手軽さとクオリティを有しており、冒頭部分だけでも一見の価値ありと思わせる仕上がりだった。

あんな始まりを見せられてしまっては、俄然期待をせずにはいられない訳だが、実際のところは残念ながらここまでが今作のクライマックスである。

なにがいけなかったかは明確に説明出来る。

まず一つ目は「見栄の張り方」に信憑性が無い事だ。

見栄とは、その人物や物事をいかに大きく凄く見せられるかという、いわば演出上の「ハッタリ」である。

その点でいえば、前述した通りデビーの詐欺師としてのスキルは冒頭で十分過ぎる程伝わった。

が、残念な事にそれはこの後出てくる「ある設定」により瓦解する事となる。

今作は、ニューヨークで毎年催されるファッション界のアカデミー賞と称される「メットガラ」を舞台に、1億5千万ドルの価値を持つ門外不出のネックレス「トゥーサン」を狙う計画なのだが、デビーはこの計画を刑務所内で5年以上の歳月をかけて構想を練ったという。

そう、この「刑務所内で5年以上」という設定がいけなかった。

冒頭であれ程のハッタリをかましてみせた人物が、5年以上も掛けて完璧に仕上げた犯罪計画があると、更なる「大見栄」を切ってきたのだ。

ましてや、クライムエンターテイメントの最高峰であるオーシャンズシリーズがそう言ってきたのだから、とんでもない手口が見れる!と否応なしにも期待せずにはいられなかったが、いざ始まってみるとなんか違った。

というのも、計画の大半が予測が難しい「他人の行動」に委ねられていた事と、下手をしたらすぐに足がつきそうな結構な強行手段が含まれていた事が主な原因だ。

そもそも、この計画を"情報の乏しい"刑務所内で、5年以上も掛けて考えたというのがどうしても引っかかる。

メットガラは、毎年メトロポリタン美術館で開催されるのが恒例となっているため、そこに犯罪に必要な様々な仕掛けを用する為、長い年月が必要だったのなら分かるのだが、そういった類は出所後3週間で用立ててしまうし、他人の行動にその大半を委ねるような計画にもかかわらず、集められた仲間のほとんどがついこの間見知ったばかりの急造チームというのもなんだか腑に落ちない。

こちらも、投獄前からの旧知の仲で気心の知れた間柄での計画であれば、観ていて違和感を感じる事も無かったように思う。

そうともなれば、刑務所で5年というワードに「信憑性」が全く感じてとれず、演出としてのハッタリを大いにハズしてしまっていると思ったのだ。

また、二つ目の理由として、都合が良いように必要なものがなんの苦労もなく手に入ってしまうのもかなり気になった。

一番気になったのがトゥーサンの"磁石"だ。

トゥーサンには盗難防止のため、留め金の部分に特殊な磁石でしか外す事が出来ない仕掛けが施してあり、その事実が突如判明するという計画外のアクシデントが発生するのだが、これは仲間の一人である「ナインボール」の妹がなんの前触れもなく突如として現れ、即解決してしまう。

しかも、このアクシデントで計画が変更になるような事も無い。

じゃあなんでそんな要素上乗せしてきたんだ?

更に、奪ったトゥーサンを解体する為に、作業場のように改造された厨房内のトイレが突然登場するのだが、こんなんいつどのタイミングでやったん?と、都合が良すぎる展開にガッカリしてしまった。

この程度の計画なら、先日観た「ザ・アウトロー」の方が数倍巧妙に練られていたよ。

チームが全員女性という事もあり、華麗さを求めるあまり過激さや緊迫感もほとんどなく、正直言って画面にも演者の肌にもハリが感じられなかった。

これでは、兄のダニーが結成したチームには1ミリたりとも及ばないと言わざるを得ない。