ポルりん

雪合戦のポルりんのレビュー・感想・評価

雪合戦(1896年製作の映画)
2.5
一見すると中身のないペラペラな作品に見えるが、実は人間の恐ろしさを垣間見れる作品。


あらすじ

20人程の紳士淑女が並木道を挟んで雪合戦をしている。

一人の紳士が自転車でその近くを通りがかる。

通りがかった瞬間に、紳士淑女らが全員でその自転車に乗っている紳士に雪玉を投げつける。

あまりの突然の出来事に自転車に乗っていた紳士が自転車から落ちてしまう。

落ちた紳士をめがけて一斉に雪玉を投げつけ、終いには紳士淑女の一人が紳士の自転車を強奪しようとする。

強奪されそうになった自転車を命懸けて取り返し元の道に引き返していく。


うーん何だろうね、この紳士淑女の仮面を被った社会のダニ共は・・・。

ある程度、時間が経過してテンションが上がった状態+自転車に乗っている紳士がダニ共の知り合いだとしたら、このような非道な行動をする気持ちが僅かにではあるが分からなくもない。
しかしながら、このダニ共の服にはほとんど雪が着いていないので、雪合戦を開始して間もないのが伺える。
つまりこの物語は、「さあ、みんなで楽しく雪合戦しよう!!」と雪合戦を開始してから直ぐの映像という事になる。
幾らなんでも雪合戦を開始してから直ぐにあのような非道な行為をするのだろうか・・・。

普通に映像を観る限りだと、集団ヒステリー状態のダニ共が近くにきた紳士をDQN行為をするだけにしか見えないが、もしかしたらこれは計画的に紳士を狙った計画的な暴行ではないのだろうか・・・。
考えてみたら、いい年をした紳士淑女が集団で雪合戦をしているのも変だし、並木道といった雪合戦には適さない場所でやっているのも変だ。
それに対し並木道は人を襲撃するにはもってこいの場所だ。
更に雪合戦をしているという行動を見せる事で、雪玉といった凶器を凶器と思わせない偽装工作も可能だ。

始めの鑑賞では気が付かなかったが、よく見るとダニ共が強い憎しみを持ちながら紳士に雪玉を投げつけている。
更に最初に雪玉を投げつけた女性をよく見てみると、皆が雪合戦をしている中で一人だけ雪合戦に混ざらずに雪玉を作り待機している。
また、雪玉を作ってからずっと自転車に乗っていた紳士を凝視しているように見える。
まるで始めから自転車に乗っていた紳士がこの並木道を通るのを知っているかのように・・・。

更に言うと雪玉を投げるタイミングも絶妙に良い。
少しでも早かったらUターンして逃亡するだろうし、遅かったら遅かったで並木道を突っ切って逃亡していただろう。

あくまで想像ではあるが、この自転車に乗っていた紳士に対してダニ共は相当な恨みを持ち、集団暴行を計画したのだろう。
雪玉を凶器とし、警察には雪合戦上の事故死とでも言い誤魔化すのではないだろうか・・・。

ただ一つ疑問が残る。
紳士が逃亡したにも関わらず、何故ダニ共は雪合戦を続けているのだろうか・・・。
しかもよりカオスな状態で・・・。
まあ、逃亡したとはいえ紳士に一泡吹かせたという達成感から興奮が冷めず、テンションがかなり上がり雪合戦を続けているのだろう。


このように本作は全体で50秒程とかなり時間の短い作品ではあるものの、考察のしがいがあり、色々と考えさせられる作品となっている。
相変わらずフレーミングは素晴らしいし、コントラストの使い方もかなりセンスがある。
直ぐに観終わる作品なので、映画好きなら一度は観た方がいいかもしれない。


そういえば去年のハロウィン、渋谷センター街で軽トラ横転させた事故があったっけ。
本作はどことなくあれと似てるなぁ・・・。
あっちは幼稚園児並の知能を持ったチンパンジーの群れが、通り掛かった軽トラックを横転させて、倒れた軽トラックに乗って遠吠えを上げてたっけな。
そういえば、最近のチンパンジーは痴漢や盗撮までするようになったらしい。
今年のハロウィンは警察を配置するだけではなく、害獣駆除業者も配置した方がいいのではないだろうか・・・。
ポルりん

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