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猟奇的な彼女のdeenityのレビュー・感想・評価

猟奇的な彼女(2001年製作の映画)
4.5
「死にたい?」
いや、死にたくないです。てかどんな女やねん。酔い潰れてたと思ったらお年寄りに親切にして、そうかと思えばその老人にゲロッちゃうという。まあ何とも破茶滅茶な女だな、って思った。キョヌと一緒。どれだけ顔が可愛くてもこれじゃあねー。

キョヌは優しいというかなよっちいから彼女に付き合うことにして尻に敷かれまくる。
喫茶店ではコーヒーを頼め。つぶ貝を注文しろ。靴を替えてハイヒールを履け。全然好きでもないスポーツをやらされたり、線を踏み越えるゲームも平等じゃない。なんて女だ!
「死にたい?」
いや、死にたくないです。
もう笑えてきてしまいます(笑)はは、何でそんなところでこだわってくるんだよ。

でもその背景にあった婚約者との死別。その辛さを乗り越えようとしていて、そしてそんな時に出会ったキョヌに彼の姿を重ねてしまったから。それでも優しい彼のことを好きになっても、婚約者に妬まれるような気がしたから。だからこそのあの態度だったんだと気づいたとき、とてつもない愛おしさがこみ上げてくる。

本当に思いが募ってくると変化していく反応。「コーラ飲んでもいいよ。」とか、丘の上でもあんな遠くまで行くの?に対して「死にたい?」ではなく「うん。」と返すとか。この変化にドキッとさせられる。ちなみに丘の上は名シーン。あとパッヘルベルのカノンがこんなにも心に沁みたのは初めてだ。

とりあえずこんな恋愛は自分だったりたぶん無理。自分を重ねていたんだとしたらショックで許せないかもしれない。でもキョヌくらいの優しさがあるなら、というかこの二人なら、何とか幸せになってほしいと願った。

最後にはちょっとホロっと来そうになるほどのラブストーリーは久しぶり。何でそんなにすれ違うんだ、って思ったけど、運命だな、それも。ラブストーリーの典型のキスとか性行為とか、そういうのは一切なくって、でもそんなシーンいらないんだって、そんなシーンがなくたって互いの思いに感情移入させれたら感動は生まれるんだって、見事に証明してくれた。いい映画。