140字プロレス鶴見辰吾ジラ

暗黒女子の140字プロレス鶴見辰吾ジラのレビュー・感想・評価

暗黒女子(2017年製作の映画)
3.8
”「オリエント急行殺人事件」よりも面白いという感情を持ってしまった。それは「マリア様が見ている」よろしく清楚な女子高生の箱庭に陰りが落ちることや、「けいおん」に代表されるようなファンタジックな日常のユートピアにディストピア的な仮面の奥を見ることを期待しているからであろう。”

「(女子高という名の)宇宙キタァァァァァァ!!」とテンションの上がる箱庭から胸糞悪い、女子という仮面の裏側の本性が露わになり、剥き出される様を、ファンタジー日常の世界であることに安心な立場でニヤついて見られるサスペンスエンターテイメント。ドンデン返しモノとしての位置づけであるが、「キサラギ」のような死の真相を追い求めるコメディのように、どうしてもキャスティングに名優を集められないときに、自分自身で茶化してしまう傾向にある邦画の中に、逆にアイドル的ポジションの瑞々しい女性たちを配置して、ミッションスクールというキリスト教の統治下にて、それそのものの”アイドル性”に溺れるタイプの映画だった。ザック・スナイダーの個人的大傑作「エンジェル・ウォーズ」における女子高生というそのものの”アイドル性”に悪意ある毒を混ぜるというファニーさが堪らなかった。そして、なんちゃって宗教映画でありながら、現実世界の物語は新たな教祖に身を捧げているという皮肉?愉快さ?の香りが効いている。