リッキー

ローガン・ラッキーのリッキーのレビュー・感想・評価

ローガン・ラッキー(2017年製作の映画)
3.9
949本目。190208
主な出演者は、主人公にチャニング・テイタム,弟役にアダム・ドライバー,妹役にライリー・キーオ,服役中の爆破のプロにダニエル・クレイグです。
チャニング・テイタムは増量してふくよかに、一方アダム・ドライバーは『沈黙』ではガリガリに痩せていたのに逞しく鍛え上げられており、ダニエル・クレイグも『007』でのスーツが似合う細マッチョ体型からは想像もできないくらい身体が大きくなっていて、この作品にかける役者達の本気度が伝わり、期待して観ました。

主人公は高校時代アメフトの名QBとして将来を有望視されていましたが、脚の怪我によりその夢が断たれてしまい、地元の土木業に勤めましたが、そこも解雇されてしまいました。そのうえ別れた妻が引っ越しするため、子供との面会も今まで通りにいかなくなり、踏んだり蹴ったりです。そんな現状を打破するための起死回生の大勝負として、彼はサーキット場の強盗を計画します。必要な人材を集め、実行しますが結末は・・・

この作品の見どころは服役中のダニエルを犯行当日にどうやって現場へ迎えるか,どのように現金を強奪するかですが,上手に考えられており楽しめました。
計画通りに事が運ばない場面も多々ありました。綿密な計画の割にぶっつけ本番のようにも感じられて,ひやひやもさせられました。田舎のおじさんチームがノロノロと前向きに対処する姿勢は見習うべきところなのでしょうかね。(笑い)

この作品ではアメリカの格差社会・社会問題を皮肉った内容にも感じました。主人公の一方的な解雇や弟がイラク戦争で片腕を失い,本来は名誉の負傷のはずなのに、実際の社会では差別されているシーンもありました。片やサーキットのような華やかな場所では裕福な人々が湯水のようにお金を落としていきます。
そんな社会へ天誅を加えるかごとく,裕福なところからはがっぷりとお宝を頂戴するような,まるで石川五右衛門的で応援したくなります。

「カントリーロード」が車のカセットテープや愛娘の美少女コンテストで流れますが,この歌も古き良きアメリカを象徴した曲を採用しているところの演出が良いですね。
その他いろいろなアイテムが作品を盛り上げてくれます。「カリフラワー」,「色を塗ったゴキブリ」,「弟の義手」,「計画10箇条」など挙げたらきりがありません。それらは伏線に繋がっていたり,役者へのオマージュであったりと、ひとつひとつに意味があり、手が込んでいて大満足でした。
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