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アンチャーテッドのbackpackerのレビュー・感想・評価

アンチャーテッド(2022年製作の映画)
3.0
古典的アクション・アドベンチャーのミームを継承した、ゲーム原作映画。
原作ゲーム『アンチャーテッドシリーズ』はソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のIPのため、グループ内ゲームタイトルをグループ内の映画会社(ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント(SPE))で映像化。
ソニーが進める自社IPの映画化サイクル、今のところ首尾は上々という印象です。

私は、ゲームをプレイするのが下手くそな身のため、ゲーム全般に対する知識や理解度は大したものではありません。
このお断りの下りも、以前『ソニック・ザ・ムービー』『モータルコンバット』『モンスターハンター』等のレビューで同様の記載をしており、保身がくどくなってきたかも……。
ただ、ゲーム原作映画に対しての興味関心は相応にあるため、「原作ゲーム知らんけど、とりあえず素人目に見ておこ~」という、俄か丸出しのスタンスで見ております。
お粗末な漫画実写化に嘆き辟易している身のくせに、ゲームの映画化に対しては何も思わないというのも、いささか薄情な気がするんですがね……。


さて、肝心の本作に対する感想。
率直に言えば、普通の映画でした。
これは決して悪口を言っているのではなく、「初めてスクリーンで見たアクションアドベンチャー映画が本作」という少年少女にとっての、インディ・ジョーンズポジションの役割を十分に果たしきれる出来栄えであったと思うからこその、普通の映画という評価です。

ただ、「ごく普通のアクションアドベンチャー」の域を脱していないところが、自分の需要を満たしてくれない根本的原因でもあります。
というのも、幼少期に当ジャンルにハマり、『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『トゥームレイダー』シリーズ、『ジュマンジ』シリーズ、『ナショナル・トレジャー』シリーズ、『ロマンシング・ストーン』シリーズ、『ロマンシング・アドベンチャー』シリーズ……等々と、同種のジャンル映画をメインストリームヒット作から傍流B級午後ロード枠まで食い散らしてきたため、少々食傷気味なのです……。

古典には古典なりの面白さがありますが、古典的冒険映画となると話は別。CG技術が格段に進歩したとはいえ、中身の出来次第ではなんの役にも立ちません。むしろ、しらけさせる要因になりかねませんし……。
近年、当ジャンルで面白かった作品で思い出せるのは、トム・ホランドも出演していた『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』と、やはり何といっても本作同様2022年公開の『ザ・ロストシティ』が素晴らしかったです。
前者は、古典的なジャンル構造を踏襲しつつ重厚な映像美で魅せてくれましたし、後者はジャンル構造を逆手にとってコメディに昇華したお点前がお見事。

本作には、ちょっと際立つものが足りませんでした。
勿論、トム・ホランドの抜群の身体能力を駆使したアクションの見ごたえや、目玉シーンである「貨物機から宙に延びる荷物(パレットサイズ)の上での空中バトル」等、衝撃的なシーンも多々ありました。
しかし、派手な画作りに執心しすぎて、ドラマはそこまで骨太ではなかった印象です。
続編製作可能な余地をあらかじめ残しておく作りってところも、正直イマイチ……。

単に個人的好みで、本作よりも『ザ・ロストシティ』に軍配が上がっただけでがありますが、技術面以外のアップデートがあまりないのに、なんで今作る必要があるのか(金の理由は別として)という疑問が残る作品でした。
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