イチロヲ

白日夢のイチロヲのレビュー・感想・評価

白日夢(1964年製作の映画)
4.0
歯科医院にて全身麻酔の治療を受けることになった青年が、隣席で治療を受けている婦人(路加奈子)と歯科医の肉体関係を夢想してしまう。谷崎潤一郎の戯曲を実写映画化している、エロティック・ドラマ。筆者は原作を読了済み。

「ピンク映画」という言葉が出現したばかりで、警視庁がピリピリしていた頃の作品。女優のヌードはラストにしか登場せず、大仰な喘ぎ声の芝居だけで進行するのだが、当時はこれだけでも限りなくブラックなグレーゾーンとされていた。

ドラマ部分は、青年の妄想世界の出来事として展開。半醒半睡の雰囲気作りが斬新であり、どこからともなく現れては覗き行為に勤しむ青年に笑わせられる。体躯が肥満化する以前の、グラマーな松井康子が看護婦役で出演しているところも注目ポイント。

「サドマゾはお互いの信頼関係で成り立っている」の法則により、青年が割り込む余地のない、謎の引力が二人のあいだに働いている。ピンク黎明期にもかかわらず、緊縛プレイを劇映画で見せているところがスゴイ。
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