ペジオ

セックスで繋がる3つの世界/ZOOM ズームのペジオのレビュー・感想・評価

4.4
コレも、コレ作った奴も、コレ作った奴を作った奴も…好きだわ

映画に限らず「誰かの創作物」に触れていると、その「誰か」が気になる事がたまにある
「こんなモノを作ったのは一体どんな人物なのだろうか?」
基本的には作品の素晴らしさと制作者の人間性は切り離して考えるべきだとは思うが、如何にもその作品を作りそうな人物像だったら納得できるし、「こんな奴が⁉」みたいなギャップが有ってもちょっとキュンとしちゃったりして(タイムリーなところで言うと「白日」を歌っているKing Gnuの井口なんかそうか。)

この映画自体は創作物の中の創作物の中へと…という「潜る」様な構造なのかもしれないが、逆に外へ外へと「浮かんでいく」観方も勿論可能(まあウロボロス構造なのでどっちも同じかもだが。)
自信過剰な映画監督の撮ったアート映画は如何にも薄っぺらい内容だし(そんな監督の「薄っぺらさ」を表現しているのが「紙」に描かれた「コミック」というのが既に皮肉。)、モデルが自分探しの旅までして書いた小説があんな良い意味でくだらないパルプフィクションだったり…作品と制作者それぞれの関係性が面白い

制作者の心理状態は作品に良くも悪くも反映される…というのが表現された「入れ子構造」は元々好みではあるし、全編に渡り下ネタが絡む展開は照れ隠しで変態ぶってる様で好感度高い(本当は真面目なんだろ?わかってるぞ。)
やがて彼らがその関係性を自覚していくクライマックスからは、「自分の制作者」という「神」の存在がチラつきもするが、彼ら自身もまた「神」であるというのが中々にひねくれている
最終的には謎の感動が3人がかりで襲ってきて…思わず「目覚めそう」になったわ

フェルナンド・メイレレスが製作で関わっていたのか…ってのを踏まえるとシリアスな映画ばかり撮っていたイニャリトゥが、「バードマン」みたいな軽い映画を撮ったようなキュートさもある
…やっぱり「誰」が作ったかって結構重要かもしれん
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