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君の膵臓をたべたいのdm10foreverのレビュー・感想・評価

君の膵臓をたべたい(2017年製作の映画)
4.1
【清々しい涙】

「きっと、最近流行りのキラキラ青春ラブストーリーみたいな感じの奴になっちゃうんでしょ。」

観賞前はざっくり言うとこんな感じでした。
まぁ本屋大賞でも選ばれてたくらいだし、お話自体は良いんだろうかね~なんて思いながら…。
ごめんなさい。
良かったです、とっても。
もしかしたら、ストーリー自体は普通なのかもしれない。だけど何故か映画の全てがプラスに働いて、途中からは涙を堪えるのに必死でした😢
主役の桜良の話し方も、何だか最初は「ぎこちない」と感じていたのに、彼女の生き方をみていくうちに、明るく振る舞うその内面にある脆さを一生懸命隠そうとしているようなその狭間の「ぎこちないさ」に見えてきて、段々といとおしく見えてくるくらいにまでなってました。方や志賀くんは、ぼくとつな人柄でありながらも、実は内面では誰かに流される事のない芯の強い男の子でした。結局二人とも不器用なくらいお互いの距離がなかなか縮まらず、やがて悲しい結末を迎えます。

ここで泣いちゃう?

いやいや、確かに泣けるけど、本当のクライマックスはここからだよ。
桜良は社交的で奔放で友達も多くて誰からも好かれる娘。そんな娘だからこそ、本当は心の底から泣き叫びたいくらいの想いを抱えているのかも知れない。周りから求められるキャラクターには決して許されない本心の叫び。

唯一心を逃がしていた「供病文庫」もみんなに見せるつもりはありません。ただ一人を除いて…。

そして、明るく振る舞っていた彼女の本心が語られたとき、もう涙を止める術はありませんでした。

セカチュー以来かも、邦画で涙が止められなかったの。でもね、昨日はもう泣こうと思った。我慢しなくてもいいやと。色々な事を考えたけど、上手く言葉にならない。ただ、このタイトルを最後に聞いた瞬間、その意味がわかりました。そうか、そういうことだったんだねって。

初々しい演技も、時としてストーリーのエッセンスとなりえるんだね。
なんか、新鮮な気持ちで家路につきました。

◎補足
劇中、インスリンや血糖自己測定器が映るシーンがありましたが、そこから直結して「膵臓の病気=糖尿病」とはなりませんので。
確かに膵臓の働きが悪くなれば必然的にインスリンという物質の分泌が減り、結果的に糖尿病と似たような病体になることはありますが、短絡的に「糖尿病=死ぬ」という病気では決してありません。例え1型糖尿病であったとしても、日々のコントロールさえキチンとされていれば普通に日常生活を送れます。
もし誤解されている方がいたら是非ご理解いただきたいと思います。
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