JIZE

君の膵臓をたべたいのJIZEのレビュー・感想・評価

君の膵臓をたべたい(2017年製作の映画)
3.4
高校時代に膵臓の病を抱えた"あるクラスメイト"の言葉をきっかけに同じ高校の教師となった"僕"が図書室の整理をきっかけに過去の大事な思い出を想い起こしていくそれぞれの成長を紡いだティーン向け難病青春映画‼略称はキミスイで原作は未読。原盤では高校を卒業した約12年後の世界が描かれてないという事を知り映画用に書き加えた延長線上の世界はまず加点要素だった。まず冒頭で小栗旬演じる僕が図書室の通路である幻覚を見るああいうベタなクロスオーバーのさせ方はお茶目だが気が利いててよい。結論から述べれば現役(特に)若者へ捧げる甘酸っぱい恋愛啓蒙書のような作品であって世界観が極めてデフォルメされた綺麗な映画,である。最初に断っておけば普段こういう類いの作品は観ず素通りをキメているが世評的にも満足度が高めでタイトルの由来にも連なる"膵臓"に果たしてどういう重要な隠し玉が用意されているのか…と意気揚々とかなり期待を寄せて観た。所謂,学園生活を舞台に取る男女の恋心をつのらせた儚い難病ものであって主演の浜辺美波演じる山内の天使のようなキャラを除けばかなり普通でベタな作品だった。また作品の構造では主に現代パートと過去パートで時制を織り込みながら難病を抱えた少女の結末に迫る。作品の趣向を要約すれば恐らくこういう事だろうと思う。つまり"自分を大切に想ってくれるヒトには命を絶やしてでも大切にしないといけない"という潤的で真っ直ぐなメッセージが広域的に刷り込まれている。また鑑賞後だと当然に題目の含みがストレートに反響するし感傷的な気分にさせられるのも納得のいく綺麗な作品。

→総評(星の王女さまと地味な図書委員の約束)。
"死ぬまでにしたい事リスト"は等身大の若者像を反映させ特にヒルトンホテルに宿泊するくだりとか観てて面白かったです。登場人物が徹底する真っ直ぐな姿勢にもトコトン溜飲が下がる描かれ方がされてるいっぽうでエモーションの面でも童心へ回帰できる遥かに題目の複雑な由縁よりもストレートに感情をぶつけてくる甘酸っぱい作品でした。また中盤で山内が僕へ向け発する「ヒトに(悪い臓器を)食べてもらえれば魂がその中で生き続ける」という台詞からも"過酷な運命を享受した山内の元へ僕という永久の光が差し込む報われない儚さ"みたいな会話の言い回しは哀感が染み込み胸に直接響いた。"違う日常(=僕)が退屈な日々(=山内)に彩りを加える"そんな人間と人間が出逢い支え合う讚美が込められている。あえて苦言を述べればタイトルの題目にもなる"膵臓を食べる"示唆があまりに単調で寓話的な方向で終始してしまっている味気無さ。終盤で急に訪れる通り魔事件でも後だし感が否めない。以上も以外でもシナリオを先へ進ませるためだけに掘り下げられない要素を強引に付け加えた事が非常に残念だった。あと山内と僕の関係性にしても何か確実に運命を決定付ける要素の必然性が薄かったように思える。例えれば共病文庫(日記)や同じクラスメイトなどあるはあるもののどちらかの一目惚れ以外に何か感動を誘発させるセンチメンタルな動悸がない。ゆえに二人が出逢う最初の入口は感動的に描かれない。どちらかいっぽうの片思いorごっこ遊び感が特に関係性を固まらせる中盤まではかなりノイズとなる部分でした。そもそも外観が美男美女でなければこの特別な設定に乗れない前提問題もある。明日がどうなるか分からない…瞬間を大切に生きるという含みを持たせた綺麗な作品。クラスいちの根暗少年少年と余命一年の美少女が今を奔走し行き着く先は…元を辿ればカニバリズムの根源を寓話的にまぶしながらどの時代にも通底するハンデを背負った男女の潤愛が真っ直ぐに描かれる。膵臓の示唆を噛み締めるなりストレートに胸が締め付けられる難病ものであった。